第21話 お茶会!

 マリーナル様とのお茶会当日。


「楽しみですか?」


「えぇ、もちろんよ」


 サフィに支度をしてもらっていると、顔に出ていたのかサフィがそう聞いてきた。


 ふふふ、すっごく楽しみである。だって前世も合わせて初めての友人とお茶会!前世で言うならカフェでお茶するってこと!粗相即離縁かかっているけど。


「はい、終わりました」


「ありがとう」


 今回はツインにしてもらった。…これ、上の方で結んで髪巻いたら縦ロールじゃない?私、悪役令嬢になれる…!?あ、この場合悪役夫人か。


「行きましょう」


 さーて、粗相即離縁がかかっているけど、楽しむぞー!




「よく来てくれたわね」


「本日はお招きいただきありがとうございます」


 シャルム公爵邸の庭園にある東屋に案内されると、マリーナル様が迎えてくれた。

 すごい立派な庭園だなぁ。ユースエン家に負け劣らず…さすが公爵家。


「では、お茶会を始めるわ」


 マリーナル様の一言により、紅茶が用意される。


 お互い、紅茶を飲んで一息つくと、マリーナル様が口を開いた。


「今日の髪形、似合っているわよ」


 と、ちょっと照れた顔をしながら。

 デレですね!可愛い!というかいきなりデレをぶっこんで来ないでくださいな!?


「ありがとうございます。マリーナル様もお似合いですよ」


 今日のマリーナル様はゆるふわハーフアップだ。正直に言おう、めちゃくちゃ可愛い。ゆるふわにしたことで悪役感が一気に消えている。髪形の威力すげぇ。


「へ、あ、ありがとう。…で、どうなのよ?」


「何がですか?」


「ユースエン公爵殿との仲よ」


 危ない、思わずカップを落とすかと思った。そんないきなりデレ並みのぶっこみをしないでくださいな!?心の準備がですね…!


「申し訳ありません…変わっていませんわ」


 ここは素直に言っておこう。この前の舞踏会でバレているし。実際ほとんど関係変わってないし。


「そうなのね」


「はい。…あ、でも」


 そういや3日前にちょっと話したなぁ。まぁあれは進展には入らないけど。


「でも?」


「3日前にちょっとだけ話しましたわ」


 あれ、これ相手が夫じゃなくて意中の相手だったら立派な恋バナじゃない?相手が夫に代わるだけでこんなに違うのか…。


「よかったじゃない。…あ、貴女のことを思っていっているわけではないわ!」


 ツンデレありがとうございます!可愛い。


「ふふ、わかっていますわ。それにしても、どうしてルイド様は私と会話しようって思われたのかしら…?」


 ずっと疑問だったんだよねー。だって次の日から元通りだったし。元通り、会話無し。


「どういう状況だったのかしら?」


「えーっと…確か…」


 その後私は、3日前のことをちょいちょい端折りながら話した。マリーナル様とのお茶会の許可をもらうために、話しかけられる状況を作ったこと。色々作戦を立てたこと。色々といっても3つだけどね!思いつかなかったんだよね!だって前世でやったことないよ、話しかけられる状況づくり。


「あー、なるほどね」


 話し終わると、マリーナル様は若干遠い目をしていた。なんか疲れてないですか?え、そんな変な事したかなぁ。


「その反応だとわかっていないみたいね」


「何がですか?」


「フィリア夫人が取った行動、聞いた限りだと気があるみたいに捉えられるわよ。それか何かおねだりしたいのか、とか」


 えぇえええ!?そうなるの!?


「ないですないです!」


 確かに手元をチラチラ見て、顔をチラチラ見て、その後顔をガン見したけど!…あ、確かにそう捉えられるわ。次からはしないようにしよう。立派な公爵夫人はそんなことしないだろうし!


「そこまで勢いよく否定するのね…」


「え、だって本当のことですわ。ルイド様とはただの夫婦ですし、欲しいものがあったら執事長に言いますわ」


 言ったことないけど。特にほしいものなかったし。


「ある意味ただの夫婦ね…。そうね、それなら恐らくフィリア夫人の行動が予想の斜め上を行ったから面白かったんじゃないかしら」


「そうですね…」


 ひとつ言うとすれば、面白い行動はしていないぞ。確かに誤解を与える行動は取ったけど!


「そういえば、ユースエン公爵殿は何と言っていたのかしら?」


「楽しんでおいでって言っていましたわ」


 むしろそのインパクトが強すぎてそれ以外ほとんど覚えていない。


 それを聞いたマリーナル様は驚いた顔をした。うん、マリーナル様がその反応なら本当にあの時のルイド様はおかしかったんですね!


「どういう心境の変化かしらね。あぁ、もしかして」


「何かわかったんですか?」


「言わないでおくわ」


 そういってマリーナル様は楽しそうに笑った。

 えぇえええ!?そこまで言って教えてくれないんですか!なんだその焦らしプレイ!さすが悪役令嬢。いやそこは関係ないか。


「そういえば、フィリア夫人。…その」


「どうしました?」


 マリーナル様は何かを言いかけて止めて、を繰り返す。あ、この反応見たことあるぞ。あの舞踏会の時と同じだ。でも今回は何を言いたいのか想像つかないから助けてあげられない…ごめんね!


「もしよければ、フィリア…て呼びたいのだけど…」


 そう言ってマリーナル様は下を向いてしまった。

 え、名前呼び!?敬称なしの名前呼びをしたかったの!?嬉しい…!そして可愛い!


「はい!嬉しいです!」


 私がそういうと、マリーナル様は顔を勢いよく上げた。真っ赤な顔を。そして次はこういった。


「私のこともマリーと呼んでくれてもいいのよ!」


 ツンデレ翻訳、マリーと呼んでほしい、ですね。

 …え!?まじで!?愛称呼びですか!


「いいのですか?」


「いいって言ってるのよ!」


「ありがとうございます。ではマリー様と呼ばせていただきますわ」


 いいねいいね!友人と仲が深まった感じ!


 その後まったりお茶をしながら色々話した。マリーナル様…マリー様と王太子殿下の進展状況だとか、王太子殿下がツンデレだとか、王太子殿下がプレゼントをしてくれただとか。あれ、ほぼ王太子殿下の話じゃない?マリー様、王太子殿下好きすぎない?これは将来安泰ですね!


「そういえば、もう王太子殿下とは思いを通じ合わせたのですか?」


 そういえばこの前の王妃様とお義母様とのお茶会で、お互いが気持ちを伝えたら的なことを言ってなかったっけ?


 私がそう言うと、急にマリー様は顔を赤らめて目を逸らしてきた。

 あ、まだなんですね…!むしろそこまで言ってなぜ伝えない!?


「と、ところでフィリアは心配事とかないのかしら?ユースエン公爵殿との仲以外で」


 無理やり話題転換してきた…だと…!?

 心配事かぁ…心配事ねぇ…何かあったかな。粗相即離縁…は言えないよね。


「いえ、特には…。今心配なのはルイド様との仲くらいですわ」


「大変ね」


「まぁ、それでも楽しく過ごせておりますから、感謝はしていますわ」


 使用人たちと、ね!使用人たちと楽しく過ごしています。ありがとうルイド様、嫁がなかったら私は今頃一人実家のフォルト伯爵家で引きこもってましたよ。マリー様という友人できてなかったよ。その点では感謝感謝。


「さて、そろそろお暇いたしますわ」


 気づけば日が落ちかけていた。楽しくて時間すぎるの早かったなぁ。これ以上ここにいると、ルイド様のお迎えに間に合わなくなってしまう。


「そうね。…えっと、その」


「またお茶に誘ってください。今日はありがとうございました」


「もちろんそのつもりよ!今日はありがとう、楽しかったわ」


 マリー様と別れて、馬車に乗り込む。腰を下ろして一息ついた。


「…楽しかったなぁ」

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