ʕ•͡-•ʔナギヘン🖥

37.ありそうな会議 再び

・ ・ ・ ・ ・



ここは偉そうな人たちが集まった偉そうな椅子と机が並んだ会議室である。


人族の進行役エドワーズが立ち上がり、皆に開始の言葉を述べる。


『よし、第、何十回目かの会議を始める。皆の者、今宵の会議こそは熱くならず、冷静に議論を進めよう』


『エッ。ボク、マグマ族ナノデ、ドウシテモ、アツクナッチャウ』


『…マグマニュート君は別に熱くてもいいって…前回も前々回もその前も!いつも言っているだろう!?』


いきなり叫び出した人族のエドワーズに、ヴァロルドは憤慨する。


『ちっ、てめぇが一番熱くなってんじゃねえか』

『ヴァロルド!静かにしろ!会議が進まん!』

『何だよ、誰のお陰で情報を得られたと思ってんだ?それに今さっき言ったのは、本当の事だろうが』


人族のアニストンが叫ぶ。


『煩いぞ魔族!今はエドワーズ様が進行するお時間の筈だ!…これだから魔族は』


先ほどヴァロルドに注意した魔族は、その言葉を安易には聞き逃さなかった。


『おい、我ら魔族を又しても差別するのか?』

『よさぬか、アニストン』

『ははあ…しかしですねエドワーズ様』


これにはネメシアも口を挟む。


『アニストン、代表会に差別者は要らないわ。みんな同じ生き物でしょ。一体、人族と魔族の何が違うっていうのよ!』


アニストンは淡々と答える。


『人族には角が生えていないが、魔族には角が生えている』

『たしかに』

『たしかに』


一同、たしかにと、その違いに納得。


『…話が脱線しすぎだ。そろそろするべき会議を進めよう。先ずはヴァロルド殿の成果に、拍手を送ろう』


パチパチ パチパチ パッチパチ


『へっ、そんなの要らねえよ』


ヴァロルドは満更でもない様子で頭をかく。


『だが同時に、リスクのある独断行動をしたことは極めて宜しくない。しかし罰則を作っていなかったし時間もないので、今回のヴァロルド殿への罰は魔族に任せる』

『ヴァロルド、今日は夕飯抜きだ』

『ぶっ殺すぞ』

『…夕飯ありだ』


『では、ヴァロルド殿。この場に彼を呼んでくれ』

『あいつなら、ずっとこの場にいるぜ?』


ヴァロルドが部屋の隅を指差す。其処には、うずくまっている一人の男がいた。


『な…、あいつか』

『…あいつか』


ヴァロルドに言われるまで、誰一人として彼に気付かなかつた。まるで視線を背後へと受け流しているかの様に。


会議室がザワザワと騒めく。


『…話しかけていいのかね?こんばんは。私は人族のエドワーズだ。君の名は何という?』


彼は自分の本名を言うことを躊躇った。対象の本名を使用する呪術のような魔法の存在を懸念したからだ。


ここで言うべきは、偽名だ。



『▓▓▓▓▓▓。▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓』


『ふむ…』


エドワーズが顔をしかめた。


『▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓』


『ふむ・・・・・』


『▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓!』


『その…、なんだ、アニストンよ。言語翻訳の魔法はどうした。彼が何を喋っているのか全くわからぬ』


『あ!申し訳ありません!忘れていました!行使、言語翻訳魔法』


アニストンは男の方を見て魔法を使った。


『これで互いに言葉が通じます。さあ!初めからもう一度話したまえ!』


うずくまっていた男は、顔をそっと上げて、一言言う。


『・・・え?今ずっと喋ってたの、通じてなかったの?』


『さあ!もう一度話したまえ!』


『・・・・・俺は鈴木。…以上です』


『・・・』

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