番外編 タカシの聖域6 無力
前回のあらすじ。本当に死ぬかもしれないという不安と恐怖に覆い尽くされた俺は、あまりの怖さで膝をガクガクと震えさせているのだった。
出来ることなら逃げたいが、逃してくれる様子は1ミリもない。
「〈一括配置・鉄〉」
パキィン
俺が幾ら何かを発動させようとしても、こいつは俺に杖を向けているだけで次々と発動が無力化されていく。スキル〈戦力測定〉の発動すら許されない。
パキィン
パキィン
幾らこいつの殺意が本物でも、ゲームなんだから死ぬ筈ない…。だけど、嫌な予感は無くならない。念の為、本当に念の為に一つだけ。
「なぁ、あんたの目的は、強者の排除って言ってたよな」
『言ったな』
「なら、今洞窟の奥から来てるババアは対象外だろ?」
『今回はレベル15以下は対象外だ。15以下を手にかけることはない』
「…ゲーム内で、これから俺は死ぬんだろ。俺はさ、あのババアに言いたい文句が沢山あるんだ。渡しておきたいゴミもある。最後に俺に、ゴミくらい置かせてくれ」
『・・・・・』
「〈アイテムボックス〉から」
建築士はアイテムボックスの大きさに大幅なプラスの補正がかかる。俺は次々に巨大な倉庫からゴミを出していく。
木屑にボロボロの木材や石、そして、緑の石に金色の石、青い宝石や赤い宝石など、倉庫の小さなアイテムを次々と出していく。
特にこの宝石は、ネットで売ればリアルマネーで大金が手に入るレベルの超レア素材たちだ。
念の為。念の為だ。
「最後に、ババアへの文句を」
視界が歪む。
「〈魔法筆〉」
…別に書くことないな。そうだ。せめて、昔命懸けで助けてくれたお礼を書いておこう…。
[今度は]
[今度は俺が]
「さて。現実に戻ったら、ババアから逃げないとな」
ちゃんと読めるかはわからないが、取り敢えず空中にしっかり書いた筈だ。
「よおローブの女。殺していいぜ」
ローブの女性は、俺に杖を向けて魔法陣を展開していく・・・・・・
◇ ◇ ◇
間も無くドローンがやって来るだろう。
『君は、何を思った?』
ローブの女性が振り向いて、うずくまっている男に尋ねる。
『1秒でも早くぶっ壊したくなったよ。あの町を」
空を見上げてそう答え、2人は共に姿を消した。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
〜始まりの町 とあるギルド〜
『おいおい、見ろよダイキ。何か意味不明なクエストがある』
『どれどれ?』
ーーーーーーーーーーーーーーー
[推定難易度]?
[依頼内容]タカシの納品
私が求めるタカシを連れてきて。
[報酬]300000G
ーーーーーーーーーーーーーーー
『おい!報酬すげえな!』
『ダイキ。このクエスト受けてみるか?俺の名字ならもしかしたら…』
『いや、タカマツじゃ無理だろ!』
『まあ、そうだよなぁ』
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