第7話 変わってしまったもの
1/25 月曜日
「ニュースを聞いている人もいるかもしれませんが、先日石上くんが亡くなってしまいました。立て続けに2人が亡くなってしまい、私もけっこう来てるものがあります。なるべく1人で帰らないようにしてください」
帰りのSHRで、恐ろしい話を聞いた。山原さんが休みなのは、この事をニュースか何かで知ってショックからなのだろう。
SHRが終わって、先生は石上くんの机に手を合わせた。
「加涌くん達は、こういうの初めて?」
先生が手を合わせながら、僕達に話しかけた。
「僕は教員始めて今年で3年だけど、こんなこと初めてで、普通に悲しくて普通に悔しい」
「先生の気持ち、なんか分かります」
唯斗の時、俺達は何も出来なかった。
「2人に折り入って相談があってさ、どっちかでいいから、新しいクラス委員になってほしいんだよね」
「俺達ですか? 俺達より人望厚い人いるんじゃないすか?
俺達は人をまとめる力がない。俺はその話を断った。
◇◇◇◇
「優菜、学校から電話来てるわよ!」
「ごめん、出たくない」
私はあの日から、人に会うのが怖くなってしまった。
彼女は自分の状況を精一杯説明したが、向こうの親には伝わらず精神がズタぼろになっている。
そしていつの間にか、自分の部屋から出ることが怖くなっていたのだ。
「私は本当にやってない。でもどうせ先生も信じてくれない。皆そんな目で見ないでよ!」
山原は耳を閉じ目を塞ぎしゃがみこんでいる。
「家の子あの日からこんな状態でして」
『なるほどよく分かりました。心が落ち着きましたら声を聞かせてほしい、と伝えてください。あと、後日もしかしたらですが……』
◇◇◇◇
1/26 火曜日
「流石に無理ですよ!」
加涌が生徒相談室で大声をあげた。先生に『学級委員になってほしい』と言われ、さらに山原の家に行ってほしいと頭を下げられたからだ。
「学級委員について、結束さんとかはなんて?」
「受験勉強あるので、すみません。って言われちゃいました」
まぁ学級委員くらいならやってもいい。でも問題は……。
「この際学級委員は別に断ってくれてもいい! だけど、山原さんのお宅には行ってほしい。彼女には信頼できる人が必要なんだ。」
「別に僕じゃなくても
「キミは彼女と同じ様な境遇だと思ってる。だからこそ話が出来るとも思ってる。どうか願いたい。この通りだ」
これ“めんこ”だよな。でも確かに同じ道にいるのかもしれない。じゃあ俺が“仲間はいる”って伝えないとダメじゃないか。
「分かりました、分かりましたよ。もう。」
面倒くさいって思いと、緊張するって思いが重なった溜め息を吐きながら喋る。
「1回様子見て来ます。だから頭をあげてください」
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