第4話 盲点での疑い
1/12 火曜日
学校のSHRで唯斗が亡くなった事について、先生が話してくれた。唯斗は学校では優等生の部類に入っていたので、先生も結構ショックだっただろう。
唯斗の席に花が飾られ、その数秒後に黙祷が行われた。
皆は何を思って黙祷してるのだろうか。関わりのない人はきっとモブが去っただけ。とも思っているのかもしれない。
そう考えると、皆が敵に見えてしまう。もしかしてこのクラスの中に犯人がいる? ないかもしれないけど、可能性として考えるべきなのだろう。
もしそうだとしたら、怪しいのは学校を休んだ“
まだ犯人が絞れたとかじゃないのだが、怪しいと思ってこれから生活するとしよう。
黙祷が終わり、席に付くと担任から呼ばれ「あとで職員室に来てくれないか」と言われた。
言われた通りに職員室に行くと、警察らしき人が2人いた。唯斗の件で先生とお話しに来たのかと思っていたが、目が合い手招きをされて用件は我々だと理解した。
「辛い話をするかもしれないが、犯人とかに心当たりとかあったりするか?」
警察の人からいきなり質問が飛んできた。唯斗の事件なんて言葉を使わずして、その話の内容を求めているとすぐに分かった。
俺の思う怪しい人はいるのだが、それで調査とかになると面倒だと考え「分かりません」と答えた。山鹿も首を横に振った。
「そうか……。後、それとは別になんだが君たちの“指紋”と“血液”を頂きたい」
といいセロハンテープを出してきた。
その言葉を聞いた瞬間に、俺は恐怖を覚えた。というのもだが、何故今まで安堵していたのかすら不思議であった。いつから、警察は味方という考えになったのだろうか。
きっと事件を解いてくれる! という甘い期待をしていたのかもしれない。
当然ながら第一発見者を疑うのは筋であるのだ。なので、我々は疑われるべき存在ってことだ。
でも、何もないだろう。と考え、自分の指紋と血液を差し出した。
「御協力感謝します」
そう言い、警察官は去っていった。
◇◇◇◇
唯斗がいないと本当にクラスが回らないことを知った1日だった。号令をする人もいなければ、黒板を消す人すらいない。
彼は地味であるが、我々に勉強の環境を与えてくれていたんだと実感した。
そこで帰りのSHRで、また職員室からの呼び出しがあった。
行くと、やはり警察官が2人いた。
「君、加涌くんだよね? ちょっと良いかな?」
そう言い、生徒相談室に連れていかれた。
「君、あの部屋に入ったでしょ?」
ギクッとした。そして警察って凄いとも思った。どうやら窓ガラスの破片に血液があり、それが私の血液と一致したそうだ。
「完全に犯人とは思ってないけど、何で入ったか教えてもらえる?」
「唯斗の様子を確かめたくて、そしたら死んでて……」
「うんうん。それで部屋の奥にある所に証拠を残したのね」
やらかした。完全に疑われてる。これから信頼を取り戻すっていうのは無理があるぞ。
「俺は何を言えば良いんですか?」
「本当の事を言えば良いんだよ」
本当の事。推理ごっこ的なのをしてた、なんて言ったら怒られそうだ。なら、
「言っても良いんですけど、片方が情報を無償で教えるって、なんか違いますよね」
「なるほど。金が欲しいのか?」
俺は首を振り、違いますよっと言った。
「俺が欲しいのは嘘偽りのない情報です」
◇◇◇◇
警察の人にあの日の流れを少し嘘を交えて教えた。
そして、警察から少しだけ教えてもらった。
死因は感電死で、凶器等は不明。侵入口は彼の部屋の窓で、金目当ての犯行ではないそうだ。
つまり、唯斗は誰かに狙われていたということだろうか?
あと、死因は感電死との事だが、山鹿は溺死と言っていた。専門的に警察が正しいのだろうけど、何か引っ掛かる。
やっぱり完全に警察頼りっていうのは怖いな。事件も無いものにされるかもだし。
俺がこの事件を解決したい! っと強く思った。
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