ヘヴンリィ・ザン・ヘヴン ~願いで現実を上書きできる世界で転生を祈り続けた少年、願いどおりのスキルを得て、美少女ハーレムを創り、現代知識と聖剣で世界最強へ突き進む~
3章2話 31日16時 クリスティーナ、初々しい。(2)
3章2話 31日16時 クリスティーナ、初々しい。(2)
「ロイ様」
ふと、ヴィクトリアはとあることを思い付く。
結果、彼女はすぐさまロイにあることを訊いてみようとした。
「なに?」
「今日のわたくしたちの服はいかがですか?」
「あっ、ゴメン、言うのが遅くなっちゃったね。すごく似合っているし、可愛いと思うよ」
「具体的には?」
ニヤニヤしながらヴィクトリアは追求する。本来の目的は別にあるが、好きな人を困らせてイジワルしたかったのだろう。
それに対して、ロイは困ったような笑みを浮かべた。彼の方も彼の方で、好きな人にイジワルされて嬉しかったのである。
「えっと……うん、やっぱり銀髪とゴスロリは相性がいいよね。それに、髪だけじゃなくて、ヴィキーは色白だから、黒い衣装とコントラストになって見栄えがすごくいいと思うよ。あと、花が咲くみたいにスカートがふんわりしていて乙女チックだし、フリルやレースアップなんかも女の子らしいよね。結論として、とても可愛いことに間違いないと思う」
「~~~~っ」
照れくさい、恥ずかしい、赤面してしまう。
なのにすごくすごく、顔がニヤけるぐらい嬉しすぎる。
とある考えがあってこのようなことを訊いたのだったが、それにしたって、ロイの答えがあまりにも嬉しすぎた。
もう、ヴィクトリアは今日も、ロイが好きで好きで好きで、大々々好きで仕方がなくなってしまう。
叶うのならば、今すぐ彼の胸に飛び込んでしまいたいぐらいだった。
が、なんとかそれをこらえると、ヴィクトリアは次に、クリスティーナに視線をやる。
「コホン、わたくしのことを褒めていただけるのは嬉しいですが――今、ロイ様がデートしている相手は、わたくしだけではありませんことよ? もう1人、お褒めになられた方がいい
「~~~~っ、わ、わたくしもでございますか!?」
突如として会話の矛先がクリスティーナに向けられた。少しだけビックリするロイに対し、彼女の方はもはや、ビックリではなく狼狽、動揺というレベルだった。
しかし、ロイは
「もちろん、クリスもすごく可愛いと思うよ」
「ほ、っ、本当で、ございます、か?」
「うん。服も清潔感があった、すごく見ていて好感が持てるし、スカートだって、なんていうか貞淑な感じで、クリスの品行方正さが表れていると思う。本当に、一緒にいるだけで世界中の男性に自慢したくなるぐらいの女の子だよ。それに――」
「は、はい!」
「三つ編みだって、毎日大変なのに、欠かさずやっていて偉いなぁ、って、実はいつも、言葉にできなかったけれど思っていたんだ」
「あぅ……、その、ブラウニーは全員髪がぼさぼさでございますので、三つ編みで髪をまとめるのは、最低限の身だしなみと言いますか……。ご主人様も、髪がぼさぼさのメイドはイヤでございましょうし……」
「確かに、見栄えだけを考えたらそういう意見もあると思う。でも、それは身体的な特徴だから揶揄することなんて絶対にしないし、誰かがなにかを言わなくても、クリスは言われる前に自分で三つ編みにするでしょ? そういうのに見栄えは関係ないよ。自分をよく見せるために努力している女の子が、魅力的じゃないはずないじゃん」
「~~~~っ」
「あっ、ご、ゴメン! 馴れ馴れしかった上に、上から目線だったよね! 二重の意味でゴメン! 次からは気を付けるよ!」
「い、いえ……、っ、……問題ございません。それに、その――」
「ん?」
「――嬉しかった、ですので」
押さえきれずにクリスティーナはテレテレしてしまう。
一方で、ロイはこういうことを言う経験が昔から、多少は
「よかったですわね、クリス様」
「きょ、恐縮でございます……」
「そっ、それで、このままどこに行こうか?」
「はい! わたくしは庶民のカフェに行ってみたいですわ!」
ということで、3人は王都のメインストリートという一等地に店をかまえていて、評判もかなりいいカフェに行くことになった。
で、そこに向かいながらロイはヴィクトリアに話しかける。
「そういえば、またカフェなんだね? いや、ツァールトクヴェレの時はレストランだったけど。そんなに庶民のお店が気に入った?」
「それもありますが、ほらっ、前回レストランに行った時は、まだわたくしたち、ただの友達だったではありませんか」
「言われてみればそうだね」
「だから! 今日は改めて、愛し合っている者同士で飲食店に行ってみたかったのですわ」
「じゃあ、もしかして、よく定番になっている……」
「もちろん♪ あ~んもしますし、1つの飲み物を2本のストローを使い2人で飲みますし、なんなら、口移しをして差し上げても大丈夫ですわ!」
「全然大丈夫じゃないよね!? 公衆の面前だし!」
「とにかく、せっかくのデートです! たくさん、た~~っ、くさん! イチャイチャらぶらぶあまあまチュッチュしますわよ! ねっ、ダーリン♡」
「~~~~っ、その呼び方はズルいよ……。思い返せば、誰からもそんなふうに呼ばれたこと、流石に今までなかったし」
「ふふっ、耐性が付いていないってことですわね。大丈夫ですわ。耐性が付くまで、わたくしが何度でも、特にベッドの上でな、ダーリンって呼んで差し上げますわ」
「もう恥ずかしいからやめにしようよ、この話!?」
「レアシーンでございますね、ご主人様がそこまで女性に対してしどろもどろになってしまわれますのは」
クリスティーナが話をシメると、ちょうどそのタイミングで目的地であるカフェに到着する。
窓から店内を確認するまでもなく、木製のオープンテラスの席さえも、大勢の客で満たされていた。
並んでいる客はいないけど、満席には変わらない。(これは座れるまで時間がかかりそうかな)とロイが雑感を抱いた、やはりちょうどそのタイミングで、3人はとあるイヌ耳の少女に声をかけられる。
そしてそのイヌ耳の少女の対面の席には、ネコ耳の少女も座ってきた。
「センパイ! ヴィキーっ、クリスっ」
「リ、タ、ちゃ、ん、声……大き…………い、よ?」
「ん?」
「こっちこっち!」
そこにいたのは、機嫌がよさそうにイヌのシッポをパタパタするリタと、ミルクを飲みながら読書をしていたティナの2人だった。
そしてリタはロイたちに聞こえるように、少しだけ大きな声で――、
「アタシたちと一緒に座ろうぜ~~っ! 案内を待つよりも早いだろ!」
「えっ、それって少し勝手じゃ……」
「大丈夫! 他のテーブルを使うならまだしも、このテーブルは5人まで座れるから!」
こうして、ロイの人生で初となる、シーリーンもアリスも、イヴもマリアも、付き合いが長い女の子4人がいない、別の女の子4人とのカフェデートが本格化していくのであった。
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