1章3話 アクアマリンの月18日 ロイ、忙しい!(3)



 その日の夜――、

 いや、日付が変わって少ししたあと――、

 王族になったので学院の寄宿舎から引っ越してきた星下王礼宮城のロイの自室にて――、


 もう夜も更け、ほとんどの人が寝静まっている頃合いに、不意にギィ……と、ロイの自室のドアが開いた。

 侵入者は3人で、肝心のロイは熟睡中である。


 なぜ七星団という軍事力を持つ組織に所属しているロイが、その3人に気付かないのか?

 理由は単純に、その3人が殺気も魔力も放っていないからだった。


 3人は薄暗い部屋の中を進み、窓から差し込む月明かりに自分たちの金髪ブロンド銀髪プラチナを瞬かせながら、ゆっくり、ひっそり、ロイが寝ているベッドのすぐそばまでやってくる。

 そして最終的に、もぞもぞ、モゾモゾ、と、3人はベッドの中に潜り込んだ。


「ん? んんっ!? えっ!?」


 3段階で徐々に大きくなる反応をするロイ。

 そんな彼に対してベッドの中の3人は――、


「えへへ、ロイくんっ、きちゃった♪」

「あまり大きな声を出しちゃダメよ? 誰かに気付かれちゃう」

「今宵もわたくしたちのことを愛してくださいまし♡」


「みんな、どうしてボ――、むぐぅ」

「んっ」


 どうしてボクの部屋に!? と言おうとしたところで、ロイはシーリーンに唇で唇を塞がれた。

 そしてシーリーンが唇を離すと――、


「ロイくん、静かに、だよ?」

「わ、わかった……」


 頷くロイ。

 すると、その反応に3人は一様にパァ、っと、花が咲くような喜びの笑みを浮かべて、かと思いきや、早々にロイの身体に抱き着き始めた。


 まず、シーリーンはロイの身体の上に圧し掛かって、ふわふわの胸を彼の胸板に上から押し付ける。アリスはロイの右腕に抱き着いて、ヴィクトリアは彼の左腕に抱き着いて、全員が全員、最愛の男の子に抱き着けて嬉しそうにニコニコしていた。


「そういえば、アリスは今日、お泊りだっけ?」


 そう、ヴィクトリアはもとから星下王礼宮城に住んでいて、シーリーンもロイと同じタイミングで引っ越してきたが、アリスはエルフ・ル・ドーラ侯爵として、家に残ることになった。

 そうでないと、あの家には親の他に子どもがいなくなってしまうので……。もちろん、ロイの婚約者ということで、自由に泊りにくることは可能なのだが。


「えぇ、そうよ。それで……、その……」


「ん?」

「今夜はいっぱい、できるわね」


「~~~~っ」

「っ、女の子にこういうこと言わせないでほしいわね。ロイのバカ」


 ロイのことを悪く言っているものの、本心ではもっとくっ付きたいと思っているので、アリスは彼の右脚に自分の両脚を絡めてみせた。

 一方で、逆側にいるヴィクトリアはアリスに対抗してロイの首筋に自分の唇を押し付ける。


「ロイ様? シーリーン様とアリス様だけではなく、わたくしにもかまってくださいまし」

「かまうって――」


「~~~~っ、そろそろ……」

「ん?」


「そろそろ、夜を始めてもよろしいのではないでしょうか?」

「うん……♡ ヴィキーちゃんの言うとおりだね。シィ、もう我慢できない」

「ロイなら……その、んっ、3人同時に、できるわよね?」


 そうして、ロイたちは生まれて初めて4人一斉に愛し合った。

 無論、シーリーンの〈終曲なき永遠の処女ハイリッヒ・メートヒェン・ベライッヒ〉でロイの精力は100倍になり、アリスの【夢のごとき御伽噺】イデアール・シュテルネンリヒトの効果で、4人全員、感度が100倍になった状態での蜜月だったことは言うまでもない。


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