2章5話 混浴、そして一糸まとわぬ姿(2)



「えへへ♡ ロイくん、お待たせ♡♡♡」


 手を後ろで組んで、身体のどこも隠していないシーリーン。

 豊満に膨らんだ胸も、その先端の桜色も、そして乙女の花の楽園さえ隠していない。まるで自分の素肌をロイに見てほしいと言わんばかりの感じだった。


「ろ……ロイ? その、んっ、恋人同士でも、あまりジロジロ見るのはマナー違反よ? わかった? シィも……その、もぉ、少しぐらい隠しなさいよ」


 最終的に湯船に浸かるからだろう。

 タオルは使っていないものの、生まれた時と同じカッコウになったアリス。彼女は左腕で滑らかに膨らんだ胸の先端にある桜色の蕾を、右手で女の子の花園を隠し、少しだけツンとした表情で顔を赤らめている。


「お兄ちゃんと久しぶりにお風呂だよっ、やったね!」


 逆にイヴは兄が相手なら、なにを見られてもかまわないと思っているのだろう。

 未成熟とはいえ膨らみ始めている胸も、その先端の色素が薄い桜色の蕾も、ぷにぷにのソレも、一糸まとわぬ姿でやたらオープンにはしゃぐいでいた。


「姉弟なんですから、たまには成長したことを忘れて、一緒にお風呂に入るのもいいかもしれませんね」


 弟と混浴するのはおかしくなく、逆に弟だからこそ、別に混浴したって問題ない。

 どうもマリアはそういう感じで、意識なんてしていない。そう言わんばかりにロイに対して自分の身体の全てを晒した。が、その割には頬を赤らめて恥じらっているので、年上、お姉ちゃんとしての余裕を見せたいだけかもしれないが……。


「うぅ……、温泉ってタオル巻いたまま入浴するのって、マナー違反だったんだ……」


 で、先ほどまで混浴に対してあっけらかんとしていたリタだが、今ではすっかりその勢いが挫けていた。

 生まれて初めて経験する感覚に、彼女は戸惑い、それをどうすればいいかわからないようである。


 リタはまだ男女の違いやエッチなことに疎い。それなのに友達感覚だった男の子と、それがどういう意味を持つか聞かされずに混浴することになったのだ。

 ゆえに彼女は普段の様子とは一転してしおらしくなり、緊張と興奮がない交ぜになった自分でもよくわからない胸の高鳴りに戸惑いつつも、そのドキドキが満更でもなくてロイの前で裸を披露し続けた。


「リタ、ちゃん……ガ、ード、よろし、く……ね?」


 そして女の子として初めての感覚が芽生えて不思議な高揚感を覚えている親友を盾にして、頬に乙女色を差したティナも入ってきた。

 好きな先輩に裸を見せるのは恥ずかしかったが、今はみんなと一緒という建前がある。本当は彼女もロイと混浴したかったのだ。


「ご主人様、その……見ても大丈夫でございますが、少しだけ、で、ございますよ?」


 最後に、浴場に足を踏み入れたクリスティーナは困ったように微笑んだ。無論、彼女もなにも着ていない。

 ロイの前世では、貴族の女性は奴隷に裸を見られてもなにも思わない、という話があったが……少なくともロイとクリスティーナは互いの裸にドキドキしていた。ロイがメイド相手にも対等に接しているがゆえの弊害なのかもしれない。


「あれ? ロイくん? こんなに女の子が好き好き大好き愛しているアピールしているのに、ノーリアクションはよくないんじゃないかなぁ?」

「い、っ、いや……その、ゴメン。男子としてすごく嬉しいのは事実だけど、流石に、どんな反応をしたらいいのか、わからない」


 この混浴はみんなの合意の上で成立している。異性の裸を見るのも、異性に裸を見られるのもお互い様だ。

 ということは本来、ロイはなにも悪くないはずなのに、なぜかみんなに謝ってしまう。


 とはいえ、アリスだってロイの動揺がわからないわけではなかった。

 そこでシーリーンに代わって、まずはアリスがロイに言う。


「まぁ、そうよね。こんなこと滅多にないし、私の方も、ロイと同じ気持ちよ。男の子とこういうふうになるのは初めてだし、どんなふうに振る舞えばいいかわからないわ」

「うん、えっと……ボクも同じ、です」


「でも……ん、えぇ、まぁ、あれよ。シィの言うとおり、感想を聞かせてもらいたいのも事実で……素直に、言ってくれる? 誰もイヤがったりなんて、しないと、思うし」

「うんうん! アリスの言うとおり、ロイくんは素直になればいいの♡ シィの裸、ドキドキする? 可愛い?」


「それは、まぁ、とっても」


 事実、ロイはシーリーン以外の女の子の裸にもドキドキしていた。

 アリスはもちろん、恋人がいるとはいえロイも男なのだから、リタやティナにだって、少しは反応しそうになってしまう。


 それにこれが混浴である以上、他の女の子の裸も(もちろん失礼にならない程度にだが)見てもいいと、恋人であるシーリーンに黙認されているようなものだ。

 視覚的にもシチュエーション的にも、胸が張り裂けそうなぐらいドキドキしているのはシーリーンに問われるまでもなかった。


「あはっ♡ ロイくん、シィの裸にドキドキしているんだ~♡♡♡」

「あ、っ、当たり前だと思うけど……」


「だったら素直にそれを伝えて、それらしい反応をすればいいだけ♡ あっ、もちろん、ある程度は自制してだけど」

「前半には少し納得したけど、シィの口から自制なんて言葉が出るなんて!?」


「ふふっ、今はリタちゃんとティナちゃんがいるから」


 こうして、ロイと美少女7人の混浴がスタートする。

 まず、みんながくる前にロイがそうしたように、生まれた時の姿の乙女たちはかけ湯で身体を流してから温泉に爪先を潜らせた。


 そうして温度を確かめた上で、全員ゆっくりと膝下まで温泉に浸かる。

 そしてその中でもシーリーンとアリス、イヴとマリアはロイのいる方に進み、そうして各々、彼の近くで腰を下ろしたのだった。


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