ヘヴンリィ・ザン・ヘヴン ~願いで現実を上書きできる世界で転生を祈り続けた少年、願いどおりのスキルを得て、美少女ハーレムを創り、現代知識と聖剣で世界最強へ突き進む~
2章4話 混浴、そして一糸まとわぬ姿(1)
2章4話 混浴、そして一糸まとわぬ姿(1)
夕食をいただいたあと、ロイたちはいよいよ温泉に入ることになった。
温泉で有名な癒しの都に、温泉旅行という名目ではるばるやってきたのだ。これで温泉に浸からないなんてことはありえない。
で――、
ロイたちが泊まっている温泉宿には、大きく分けて2種類の温泉があった。
即ち、大浴場と、部屋ごとの浴場である。より細かく言えば、大浴場には日光の湯、月光の湯、星光の湯の3つがあるのだが、今はあまり関係ない。
かなり豪勢なことに、部屋ごとの浴場とは文字どおりモノで、この温泉宿の全ての客室には、それぞれ個別の温泉が引かれていた。無論、ロイたちの部屋も例外ではない。
「はい、大浴場と部屋ごとの浴場、みんながどっちに入りたいか、アンケートを取ります」
ふと、ロイが部屋でアンケートを開始する。
部屋にはロイ以外にも、全員が揃っていた。
「シィはロイくんと混浴したいから個別浴場かな♪」
「私にはシィが抜け駆けしないように、きっちりと見張っておく必要があるわ」
「わたしもお兄ちゃんと一緒に温泉に入るよ! だって家族だもん」
「それはわたしにも言えることですね」
と、あまり勉学に励むはずの身としては褒められたことではないが、ここまではロイの予想どおりだった。
しかし、予想できないのはここからである。
まず、ロイはリタに目を向けた。
リタはベッドをトランポリンの代わりにして遊ぶのをやめて、ロイと向き合う。
「リタちゃんはどうしたい? どっちがいい?」
「ぅん? みんなで入った方が楽しいじゃん! アタシは個別浴場でワイワイする派」
「そっか。なら、流石にリタちゃんと混浴するわけにはいかないし、ボクは時間をズラ――」
「えっ、そうしたら、アタシの前に意思表明した4人の意見が変わっちゃうじゃん。センパイ1人がそう言うだけで、全員に影響がいくんだぜ?」
「なんで今に限って微妙に意見が鋭いのかなぁ……」
「それに! アタシはセンパイと混浴でも一向にかまわない! 水着と同じぐらいの肌面積になるんだし、タオルで身体を隠せばヘーキヘーキ!」
言うと、リタは「にひっ」と親しみやすい笑顔を浮かべた。
ここで、ロイは確信した。
リタは同い年の女の子より胸が大きく、つまり女の子として発育良好なのにも関わらず、十中八九、性的なことに疎いのだ、と。
カレシなんて存在に憧れているらしいが……なにも知らないという意味では、あのティナよりも純真無垢の可能性さえあるだろう。
要するに、(リアちゃんに混浴は避けた方がいい、って、注意しても、意図っていうか、伝わってほしい感覚が伝わらないんだろうね)ということである。
よって、ロイは早々に、リタに諦めてもらうことを諦めた。
必然、次に説得すべきは――、
「なら、ティナちゃんはどうする? ボクは大浴場をオススメするけど……」
「わ、わわわわっ、……ワ、タシで、すか?」
まるで沸騰したように、頭から煙が上がりそうなぐらい、ティナは顔を真っ赤にする。
口をアワアワさせて、さらには両手までアワアワ動かしながら焦っている。
この様子だとリタとは違い、ティナは男の子と女の子が一緒に温泉に入ることが、少なくとも今の自分にとって刺激が強いことだと自覚しているはずだった。
まして、ティナにとってロイは憧れの先輩だ。好きな人の前で一糸まとわぬ姿になるなんで、想像しただけで、顔から火が出る思いである。
「ワ……っ、タシは、大浴……場…………」
「でもさ、ティナ? そしたら1人で大浴場に行かなくちゃならなくなるんだよ? ティナにそんなことできるの~?」
「ワタシ、も……っ、個、別浴、場……が……いい、ですっ」
「リタちゃん、なぜ積極的に不健全な方向へ……」
イジワルそうにニヤニヤしているリタ。
彼女の煽りを受けて、ティナはあっけなく意見を曲げてしまった。
それにロイに知る
当たり前だが、性欲があるのは男の子だけではない。女の子にだって、ティナにだって、エッチなことに対する興味はある。
言ってしまえば、混浴は恥ずかしかったが、リタの一言のおかげで、混浴に参加する理由とまではいかないが、大浴場に行きづらい理由はできた。
ティナは無自覚ではあるが、それをラッキーに感じて、言い方は悪いが便乗したと言えるだろう。本当はもっと、便乗というよりは、恋する乙女として切実な感覚ではあるが。
「最後に、クリ――」
「ご主人様のいるところが、わたくしのいるところでございます♪」
と、いうわけで――、
――少年1人と美少女7人は、にわかには信じられないことに、ウソ偽りなく混浴することとなった。
流石にティナがいるということで、恥ずかしがり屋な彼女のために、まずはロイが1人で脱衣所で服を脱ぎ、温泉に入った、
あとは頃合いを見計らって女の子たちがロイの次に脱衣場に入る、という感じである。
(ボクだって男子だし、見たいか否かで言えばもちろん見たい、女の子の裸を。……でも、えっ、本当に?」
このようなことをロイが温泉に浸かりながら考えていると、ようやく、脱衣所の曇りガラスの引き戸に、女の子のシルエットが表れた。
シルエットだけでは誰が誰だかわからないが、みな、一様に楽しそうに服を脱いでいる気がする。
そして数分経つと、ガラッ、と、曇りガラスの引き戸が開いた。
「――――」
と、言葉を失うロイ。
夢のような楽園がそこにはあった。
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