ヘヴンリィ・ザン・ヘヴン ~願いで現実を上書きできる世界で転生を祈り続けた少年、願いどおりのスキルを得て、美少女ハーレムを創り、現代知識と聖剣で世界最強へ突き進む~
3章10話 放課後の中庭で、ライトな修羅場に――(2)
3章10話 放課後の中庭で、ライトな修羅場に――(2)
「お兄ちゃん、シーリーンさんは納得したみたいだけど、わたしは納得していないよ?」
「わたしもイヴちゃんと同様、納得していませんからね?」
――次は、イヴとマリアを説得する番だ。
しかし、これについてはロイにも思うところがあった。
「イヴも姉さんも、シィは認めるのにアリスは認められないの?」
「だってぇ……お兄ちゃんに2人も恋人さんができたら、わたしと遊ぶ時間が減っちゃうよぉ……」
「わたしだって、まだまだ子離れならぬ、弟離れができませんからね……。もっともっと、弟くんを可愛がってあげたいんですよね……」
「イヴも姉さんも寂しいだけだよね、それ……」
「そういうロイだって、口ではともかく、顔は満更でもなさそうよ?」
「うぐっ……」
アリスに指摘されて、思わずロイは呻いた。
彼だってイヴとマリアのブラコン度合いに負けないぐらいのシスコンなのだ。
正直、前世の記憶があるぶん、2人を心の底から実の姉や妹と思えているかさえ怪しい。
それにそれを抜きにしても、妹と姉から離れられるのは寂しい、みたいなことを言われると、繋がりを感じて嬉しいものである。
「そういえばアリスさん、お兄ちゃんと付き合い始めたのはいつなのよ?」
「ふぇ!? そ、っそ、そうね、ロイがシィと恋人になった少しあとよ」
「ちなみに、どちらが先に告白したんですかね?」
「アリスだよ」
「ちょ、ロイ!?」
ふと、ロイはアリスに目配せをする。そして頷いてみせた。ここは任せて、という意味である。
それに対してアリスは、おずおずと、不安そうに頷き返す。
「ボクとシィが付き合うのを見て、自分の気持ちに気付いたみたい。そして抑えきれなくなったみたいで……」
「そうなんだ~」
「わたしもお兄ちゃんへの気持ちを抑えきれないのは同じなのに……」
「わたしもですね……」
シーリーン、イヴ、マリアの順番で相槌を打つ。
翻ってアリスは3人に対してロイと一緒に背を向けて、彼と急遽、ナイショの話を始める。
(ちょっとロイ! あなたが頷いたから任せてみたけれど、私をフォローするんじゃなくて、自己保身するのね!?)
(ご、ゴメン……。でも! こっちの方が筋は通っているよ!)
(どこが!?)
(シィがいるのにボクの方からアリスに告白するのはおかしいでしょ? だからアリスの方から告白したことにしたんだよ)
(ぐぬぬ……)
(唸ってもダメだよ)
(わかっているわよ……。もともと、私の都合にロイを付き合わせているわけだし)
小声でやっていたナイショの話をやめて、ロイとアリスは再び対面の3人に向き直る。
「どうしたのよ、お兄ちゃん、アリスさん?」
「「なんでもないよ?」」
「なんか2人とも不自然ですね? 気のせいですかね……?」
「「気のせい気のせい」」
明らかに不自然だったが、ボロが出ないうちに、アリスは会話を中断させるように立ち上がった。
「そろそろ帰りましょう? マリアさんも、もう講義はなかったと思いますが?」
「はい、今日はもう自由ですね」
「わたしも帰れるよ!」
「じゃあ、ロイくん、いこっか?」
「うん、そうだね」
どうやらアリスの誘導は上手くいったようだった。
彼女に続き、他の女の子3人も、そして最後にはロイも立ち上がる。
もう、これは完全に帰宅の流れだった。
だがしかし、ロイは1つだけあることをアリスに伝えるために、彼女の耳元でそれを囁く。
「アリス、今日の夜、どうしても話したいことがあるんだ。あとで連絡するから、夜、外出する時間を空けていてほしい」
「~~~~っ」
今のやり取りは当然、校門に向かって少し前を歩くシーリーンとイヴとマリアには聞こえないように配慮した。
そして無論、アリスだってこのことを誰にも言うつもりはないだろう。
それを伝えると、前を歩くシーリーンたちにロイだけが追い付く。
一方、アリスは『夜』と『外出』という単語に反応してしまい、頬に乙女色を差しながら、少し遅れて小さく、控えめにコクンと頷いた。
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