前夜
「第七遊撃隊じゃねぇか!やっぱりお前らも新狩りか」
目的地に到着し、テントなど設営していると髭のおっさんが話しかけてきた。
「暇人だけ集まってね。ステーキも来たんだね」
「おうよ!我ら欲張りステキセットは旨い話に目がないからな!じっとしちゃ居られないわな!」
はぁっはっは!と笑う彼は名乗った通り、クラン:欲張りステキセットのリーダーだ。口振りからしてメンバーも来ているのだろう。確か、総員で五人の小さいクランだったはずだ。
とは言え、ナユタもメンバーは多いが実働するメンバーは少ない。実態は似たようなものだ。
「お互い運があると良いな。何せ未知の土地に、見たことのない種族だ。
価値の高い素材でも手に入った暁には大儲けだぜ!」
「ははは。ウチは多分自分等で使っちゃうけどね。というか、売るのは君らくらいだよ」
「オレらだって使えそうなら使うさ。だが、オレらは剣を振り回すのが大好きな連中ばかりだからな。アイテムや銃なんかは誰も手をつけないのさ」
「そっちも楽しそうで何より。もし、要らないものがあったら買い取ってよ」
「お!期待しとくぜ。全滅なんてすんじゃねーぞ」
「他所の心配してる場合か?ヒーラーもロングレンジも居ないんだから相性悪かったら苦戦するだろうに」
「そん時ゃ根性よ。金のためなら死も厭わねぇイカれた集団がオレらさ」
「そうだった。いらない心配だったね。幸運を祈っとくよ」
「お互い様だ!」
また大笑いして去っていく。彼ら以外にもいくつか野営の準備しているクランがいる。獲物の取り合いにはならないだろうが、狩り場が被らないように注意が必要だろう。
「おーい!!ナラトー!!」
去っていく笑い声とは反対に大声で呼ばれる。見れば大槌を背負った我がクランのヒーラーが手を降って走ってきていた。
「お、マリア!待ってたよ」
「や、所用でね。遅れ馳せながらお祭りに馳せ参じたよ。今回は…このメンツか」
大槌を背負った彼女はヒーラー役のマリアンナ。背の大槌はダンジョンで勝ち取った錫杖で、あれに殴られると回復するという恐ろしい武器だ。連発はできない分、回復力は測り知れず全快しなかった例は今までない。
もちろん、打撃武器としても大いに使えるので前衛も任せられる。
「いつものメンツだよ。おし、明日の朝6時がスタートだ。各自備えておくように!」
「イエッサー!!」
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