第10話

現在時刻 8:35


俺達はとりあえず配布された銃で試し打ちをしていた。俺と麗鳳はだいぶ慣れてきたが、神楽坂がこうゆうの苦手らしく、慣れそうにない。妃華莉に至っては持っているだけで撃ってすらいない。それもそうだろう。

自分が今持っている銃が結香里を殺した。

今思えば妃華莉は最初からずっと結香里と一緒に行動していた。

彼女が今どれほど辛いか、理解してもしきれない。



現在時刻 9:00


今日の鬼ごっこがスタートした。









……














………











開始 40分後


妃華莉は学校からほとんど離れていなく、数十mのところにある裏道をちょこちょこ移動して時間を潰していた。


妃「ゆか、ちん……」


ねぇゆかちん。うち、ゆかちんがいないと寂しいよ…。


いつもみたいに、さ…

私を追いかけて、自転車漕いできてよ…

ほんわかした声で、私を呼んでよ…

ふんわりとした優しい目を、私に向けてよ…

まだ話したい事、たくさん…あるよ……

これが終わったあとに、遊びに行く約束したじゃん…

お店も、リストアップ…したじゃん……

まだ1個も行けて、ないよ…

ゆかちんと、行きたいよ…

うち、ゆかちんの事、大好きだよ…

1人は、いや、だよ……。

もう、1人になりたく、ない……。

あんな生活…戻りたくないよ、

うち、これからどうすればいいの…?

どうやって、生きていけばいいの…?

そもそも生きてていいの…?

ゆかちんがいないなら…

別に、生きたくないな…。


















死にたい、な…。





















パァン!!!!

























…へ?

今、何が起きたの…?

ほっぺたが、あつい…

なんだかヒリヒリする…

うち、ぶたれたの…?

でも誰に…?


澪「…何考えてるのよ…あんた……。」


妃「澪、ちゃん…?

なんで、ここに…?」


澪「心配で、様子見に来たのよ…

そんなに遠くには行ってないって思ったから…」


妃「いつから、聞いてたの…」


澪「リストアップとかなんとか…聞こえた…」


妃「そっ、か…」


澪「うん…。ごめんね、盗み聞きみたいな事して…。ほんとだったら、安否確認したら、すぐ戻るつもりだったんだけど…

どうしても聞き捨てならない事が聞こえたから、つい……。」


妃「………」


澪「でも、結香里は…

結香里は絶対に…後追いなんて望んでない…!!お願いだから…お願いだから、自殺なんて、やめて…

どうせなら、結香里の仇討とうよ…

仇討って、一緒に生き延びようよ…

結香里の分まで楽しんで生きようよ…!

その方が結香里もきっt 妃「無理だよ」…え?」


妃「仇は討ちたいし、絶対に討つよ。でも、ゆかちんの分までってのは…うちには無理だよ…。」


澪「妃華莉…」


妃「……ねぇ、澪ちゃん」


澪「ん?」


妃「うちの昔話、しても、いいかな…?」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る