第2話 サガ道中日記~悪夢編~

 朝日が燦々と降り注ぎ、小鳥のさえずりが聞こえてくる気持ちのいい朝がやってきた。

 寝心地のいいベットで寝ていたカズマは眩しさに目を覚ました。が、もう少し寝たかったので寝返りをうった―――


「おはよう。吾輩、地蔵菩薩である。」


「ぎゃっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!。」


「ハァーハッハッハ、お約束の定型文から始まったが―――残念、夢である。―――!」


 朝日が云々言っていたが実際はプロローグ時の無いもない空間―――だったところに炬燵が据えられており、カズマ(姿はカンパネッロ)が目を覚ましたら向かい側で自蔵菩薩が両頬をついて笑顔でのぞき込んできていた。―――まさに悪夢である。


「なんでまたてめーが出てくんだよぉ。」


「決まっている。吾輩も出番が欲しいからである。」


「お前第一章の頭で出まくってただろうが。散々無駄に長い話をするから皆そこだけ読んで続きを読んでくれないんだぞ。」


「だが!少しは応援してくれている。」


「最初だけな。」


「つまり、吾輩が応援されているということだ。いやぁん、てれるなぁ~。」


「―――――………帰っていいですか?」


「はて、帰るとはどちらにかな。―――転生する前の地球の日本かな。それとも、転生した後の「ウェルト・ヴィサァメン」であるか。」


「―――例えば日本に帰りたいって言ったら、帰してくれんの。」


「日本に帰してやることはできる。―――だが、元の生活に帰れると思うなよ!。」


「何でだよ!」


「貴様は向こうではすでに半年間失踪扱いになっているからである。」


「転生前に戻せよ。」


「無理である。時間は吾輩の領分ではないのだ。」


「そんな地球に今更帰りたくないわ。」


「と、いう訳でだ、少年は今後も「ウェルト・ヴィサァメン」で生きていくことになるのだが、今後もこうして合間合間に吾輩との座談会に参加してもらう。」


「そろそろツッコミに疲れて来たけど――――!」


「ソレはこの作品の見どころ、その一つが少年と吾輩の掛け合いであるからだ。」


 本来そんなことはこっれぽ~っちも無かったのだが。


「そしてもう一つがちっさい体のカンパネッロちゃんがでっかい武器を振り回して敵をやっつける冒険ファンタジーである。」


 むしろそっちが本命である。


「しかし、後者では文章だけでの表現には限界がある。―――ゆえに、書籍化でイラストが付いたり、コミカライズされたり、アニメ化されていくことでこの作品の魅力が増していくのだ。」


 だがそうなるとは誰一人として言ってはいない。


「だからこそそれまでの間は吾輩が幕間芸人よろしく場の空気をつなごうと思っているのだ。」


 だが、大事なことだからもう一度言っておく。――――まだ誰も書籍化もコミカライズもアニメ化も「する。」とは言っていない。

 だからこの地蔵菩薩のうっとおしい座談会がずっと続くかもしれないのだ。


 だが、カズマはそれに気づいてなかった。


「アニメ化かぁ、アニメ化が決まればこの悪夢もWebラジオかなんかで再現されんのかねぇ。」


「出演者さんたちが炬燵でまったりしながら面白いトークをしてくれるかもしれんぞ。」


 しつこい様だが、Webラジオなんか誰もするって言ってないからねぇ。


「と言う訳で少年と吾輩の2人で「彼女はメインウエポンです。」を盛り上げていくぞ。」


「本当にやるのか。」


 ■■■


「ハイ。と言う訳でタイトルコールがすんだところで、原作の紹介とそれを盛り上げる番組の趣旨を伝えるのが本来の流れなのだが……。」


「そこまで再現せんでも良いだろう。」


「だが一応出演者の自己紹介はしておこう。吾輩は主人公を異世界に転生させた神、下卑た笑みアルカイックスマイルがトレードマークの地蔵菩薩である。」


「俺が異世界に転生して小っちゃい体の美少女になってでっかい武器で敵を薙ぎ倒す「カンパネッロ」の中の人である主人公のカズマです。―――

ねぇ、長くない。俺だけなんか自己紹介が長くない。いや、長いというかややこしい。」


「いいぞぉ~。貴様もWebラジオソレぽい喋りになってるじゃないか。」


「―――っあ。」


「以上。2人で今宵もお送りしたいと思います。」


「~~~~~~~~~~~っ、とりあえず1つツッコませてもらうぞ。」


「どうぞ。どうぞ。」


「タイトルコールなんてしたか。」


「そこは文章媒体だし、読者様のイメージに―――」


「丸投げするなよ。」


「ならば1つ。「ろうそくに火がともされた暗闇にひゅ~~~どろどろどろと効果音が入って『悪夢編始まります。』」ってのはどうだ。」


「まさに今の俺の心境だな。」


「もう一つ、「こ・〇・す・ば」って感じで。」


「怒られんぞ!」


「何を言う。これはあくまで読者様のイメージによるもの。読者様のイメージを規制することなどはできんのだよ。」


「明らかなイメージ誘導だろうが。ギリでアウトだろ。」


「ギリでセーフだと思うが。」


「まぁ、ここを俺達だけで議論しても意味はない。―――次のツッコミに行かせてもらうぞ。」


「かかってこいやああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁ!」


「ツッコム前からツッコミどころを増やすなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


「それではカズマさんで「ツッコミ」どうぞ。」


「だ~か~ら~、いやもういい、キリがない。―――とりあえず、今回行間がスカスカじゃないか。」


「あぁ、これは吾輩と地のと文と貴様のテンションの差の表れである。――――決して作者がほかの「カクヨム」作品を読んで影響されたのではないぞ。」


「おもっくそ影響されてねぇか。」


「安心しろ。これは「悪夢編ここ」だけで本編は今まで通りのギチギチで読みずらい文章だ。」


「読みづらい文章なんか書くなよ。」


「仕方ないだろう。この作者はガチの書籍派だからなぁ。なんってたって昭和9年の本をお宝として愛読してんだから。」


「マジかよ。どんな本だそれは。」


「「聖将 東郷平八郎伝」って本。」


「あっ、うん。なんかそれは分かる。」


「当時1円で発行された本が古本屋で1000円で売られていて速攻で買ったほどらしい。」


「それ、絶対に誰かの遺品だよね。あと当時の貨幣価値が分からんがプレミアとかついてんの。」


「いや、当時の1円は現代だと2000円~2500円ほどだから中古本としては少しお高いぐらいの値段だな。」


「なぁんだ。」


「まぁなんてたって80年物の本だからな。資産的価値は低くても本としての価値はあるだろうな。―――お、ヤフオクで検索したら作者の持ってるやつと同じのが2000円ほどになっているわ。」


「で、読んだ感想は。」


「中学の時の教科書よりずっと読みやすい。」


「「あ~、なるほどなぁ。」としか言えんわ。」


「基本的に軍人の話だけに話し方が堅いのだが、漢字には全部ルビがふって有ったりと読む側のことを考えられてる感じはするそうだ。」


「マメだな。今どきのラノベでも全部にフリガナはないだろう。」


「ただ、セリフより描写や時代背景の説明などが多いから、情報過多になりがちだから活字離れにはきつい。」


「厨二ラノベみたいだな。」


「まさにそんな作者のバイブルだ。―――だが、当時はインターネットなんかなく情報は簡単に調べられなかったから、作品の中で全部を説明しなければならなかったのだ。」


「つまり、現代のラノベはインターネットあってこそか。」


「ラノベだけじゃなくて現代のトレンドになってる作品の多くはそうゆうものだ。設定や知識に情報を割かなくなった分ストーリーやドラマ性に重点を置けるようになった。ゆえに文学はエンターテイメント性が上がりメディアミックスの可能性が広がったのだろう。」


「で、なぜか哲学的な話になっていっるが、もともと何の話だったけ。」


「この作品の作者は昭和風の読みづらい作風が好きだから、本編もそうなってる。って話だ。」


「今回の話の趣旨を考えると確か作品を盛り上げるための座談会じゃなかったっけ。作者ディスってていいのかよ。」


「それで話が盛り上がるなら問題ない。」


「てか、作者もお堅い作品を書きたいならそれを書けばいいんじゃないのか。」


「間違っている。少年よ大いに間違っている。―――この作者は別にお堅い作品を書きたいわけじゃない。―――いや、そういう作品の構想もあるらしいが……、しかし、ここでは――――萌え~~~な美少女が、燃え~~~~なアクションでヌルヌル動くようなアニメになりうる作品が書きたいのだ。」


「じゃぁこんなの書いてないで本編掛けよ。」


「いやな、2章の構想立てていくと萌えやネタに偏ってドラマ性が薄くなっちまうそうで……。」


「はぁ、ドラマ性?何か問題でもあんのか。」


「――――そこ、行っちゃう?」

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