第1章 エピローグ

 カズマこと、カンパネッロが生き返ってから、十六夜と合流したサリーたちに連絡を取った。

 無事だったことを喜ばれるも、タイケン達の死を伝えた時には苦しい限りだった。

 その後タイケン達の死体や遺品をカンパネッロが回収してから3人と合流した。

 すぐにでも町に戻ろうかともなったが、生き返ったばかりのカンパネッロの体には死の苦痛がさいなんでおり、出発は翌日となった。


 ■■■


「ハイ、報告確かに承りました。」

 キウラキの街に戻ってきたカンパネッロたちは報告をするためにギルド協会に来ていた。

 十六夜とサリーは「サガの風」に報告が必要なのでいて、今はいない。

 カンパネッロはギルド協会での報告にやっぱり出てきたナコトに事のあらましを説明した。

「―――マーマ?」

「はい、そちらの保護された少女は確かにカンパネッロさんの娘さんとして登録しておきました。」

「―――おい。」

「冗談ですよ。保護者として、保護者としてですよ。」

 あのダンジョンで助けた少女は言葉が喋れるようになるとカンパネッロのことを「マーマ。」と呼ぶようになってしまった。

 あのジオング教団のなんかよくわからなかったアイツに改造される前の記憶が無い、もしくは、もともと物心がつく前の子供だったのかもしれない。そんな少女を助けた、むしろ生き返らせたと言えるカンパネッロが「マーマ。」と呼ばれるのは仕方のないことだ。

 多分そのうち慣れるだろう。

 そう思ってこの子の面倒を見ていくことを決めたのだが。

「で、結局ジオング教団の情報源は消されてしまったが報酬はどうなるんだ。」

 喰いぶちが増えるんだからお金は大事である。

「その件はご心配なく。ジオング教団が『敵』奴らと関わっているという情報だけでも協会には大金星ですし、ダンジョン1つをつぶした報酬も「サガの風」の方と山分けしてもらえます。―――して、この後の用事がないなら依頼が入っておりますがどうしますか。」

「俺を直接指名してか。」

「はい、今回の依頼は協会は口出しする気はないですのでご自由にお決めください。」

「ソレは―――、」

「「サガの風」の方々です。」

「十六夜達か。」

 そこで背後から声が掛かった。

「そうです姉御。―――姉御はサガ伯爵への紹介を望んでいたでしょう。」

「そういえばそんな話もしたっけな。」

「ですので、それ込みでタイケンたちの遺体の領都への移送の護衛を依頼したいのです。」

「まぁ、それを断るほど薄情じゃないつもりだけど、そんなすんなり伯爵様に会えるの。」

「大丈夫です。「サガの風」僕たちは伯爵の子供みたいなものですから、すでにアポはとってます。」

「マジかよ。ならば行くっきゃないだろサガ伯爵領都。」


 この時はカンパネッロたちも知らなかった。

 のちにエルドルフ「カンパネッロ」の名前が世界に知れ渡たった時、その最初の仲間たち、タイケン、ヤリオ、カウンター――――が伝説のゾンビィーロードと呼ばれることになるとは。

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