第114話 集団戦/吉奈のソルジャー
魔女のリーダー・吉奈は、頭を高速回転させていた。
花崎高校の狙いは、ファイターとハンターを素早く倒すことだ。
ポーク構成を採用しているだけあって、遠距離から攻撃することは得意中の得意である。
ただし、ゆっくり狙っている暇はない。
もし、ちょっとでも倒すのが遅れれば、東源高校が懐に飛び込んでくるだろう。
そうなったら、瞬間火力の差で、花崎高校は負けることになる。
「自分たちの練習と経験を信じるのよ」
仲間たちに勇気を送りながら、ソルジャーのアサルトライフルを発砲して、初弾はヒット。
お笑い生徒会長の未柳が操る、ファイターに。
ほぼ同じタイミングで、心配性の真希が操るハンターも、弓矢を当てた。
メイド服の似合う薫の操る、ハンターに。
東源高校の、ファイターとハンターのHPが、綺麗に削れた。ただし、まだダウンしたわけではない。
もっと正確には、もし御園のマジシャンの範囲攻撃スキルが当たっていれば、倒せていたはずだった。
だが、かわされてしまったのだ。
この一連の動きを、実況解説が語った。
『東源高校の狙いは、吉奈さんのソルジャーと、真希さんのハンターのポーク攻撃は当たってもいいから、御園さんのマジシャンの範囲攻撃を必ず回避する動きです』
魔女のリーダー・吉奈も、同じような分析をしていた。
(多少ダメージを受けてもいいから、強引にエンゲージして、瞬間火力を叩きだす作戦ね。ただし、それだけHPが削れてしまえば、効率よくダメージを出す前に、ダウンするわよ)
だが事態は、そんなに簡単ではなかった。
kirishunこと俊介の格闘家が、もうすでに吉奈のソルジャーに近づいていたのだ。
『二回目のポークを実行する前に、吹っ飛ばす』
魔女のリーダー・吉奈は、選択に迫られていた。
自分の身を守るか、それともポークで削ることにリソースを割いて、チームの狙いを加速させるか。
吉奈は、仲間を信じていた。
ずっと同じチームで活動して、いくつもの困難を共にして、あと一本試合に勝てば全国大会に進出できる。
仲間を活かそう。たとえ自分が真っ先にダウンしても、きっと仲間たちがチームとして成果を出して、この試合に勝てるだろう。
そう判断した吉奈は、自らの身を守ることを放棄。お笑い生徒会長の未柳に向かって、アサルトライフルを撃ちこんだ。
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