第3話 合同捜査
捜査一課の大部屋に戻ると、そこには臨場していた二人がいた。
「強行犯捜査5係係長の茅野良輔警部補ですね?」
「あ、はい」
茅野も確認されて頷く。
「警察庁刑事局特殊捜査係の原田と」
「獅子沢です」
「今回、現職の警察官が殺害され、第一発見者が元公安局長の娘さんだということで、我々特殊捜査係と第5係で合同捜査を行うこととなりました」
「え?第5係(うち)と特殊捜査係がですか?」
「ええ、大河内刑事部長の指示で」
「あの野郎…」
磯城神が毒づく。
「そういえば、神澤刑事部長、どうなったんでしたっけ?」
古岸の問いに
「確か県警刑事部長になったって話よ」
恵が答える。
「捜査一課大部屋の第5係のこのスペースで合同捜査させていただきます」
そして、合同捜査が開始した。
「被害者は警察庁公安局長の警視監、59才、死因は足を滑らせたことによる転落死で、死亡推定時刻は今朝の4時頃です」
獅子沢が言う。
「局長ですが、警察庁でもかなり有名な人なんですよ」
そう言うのは原田だ。
「白井局長は、公安局長の前に長官官房監察官だったんですよ」
「え?どうしてご存知なんですか?」
伊藤が原田に聞く。
「私が特殊捜査係に配属される前にいた所が、公安局なんですよ。庁内でもちょっとした有名人でした」
「なる程…」
すると
「原田係長」
磯城神が呼ぶ。
「どんな方なんですか?」
「相当厳しいことは確かなようです。警察官同士の恋人に対して、人事を通して遠ざけることまでしていたらしいですから」
「すごいですね…」
古岸が驚く。
「それって夫婦は例外ですか?」
聞くのは藤原だ。
「既婚者も例外ではありませんでした。今でも公安局では、異例な人事で数組の既婚者が離れ離れになっていると聞いたことがあります」
「それは…敵は多そうですね」
「自分にも他人にも厳しい人ですから」
「それで、死因ですが」
獅子沢が話しを戻した。
「鑑識の報告だと、足を滑らせたことによる転落死…死亡推定時刻は、今朝の4時前後」
獅子沢に続き
「で、被害者が現職の公安局長で第一発見者が大塚元公安局長の娘さんの沙織さん…これ、なんかありますね」
と恵が言い、皆も頷く。
「しかもその第一発見者の恋人がという人物…」
磯城神が言うと古岸が手元にあったタブレットで警察のデータベースにアクセスした。そして「宮下徳治」と旧5係長の名前を入力して検索をかける。そして出てきた情報をテレビに映すと
「あ!!」
一同が驚く。
「宮下悟ってありますよ!」
藤原が家族欄を指差す。
「やはり、そうだったか」
いつの間にか鑑識課の柄澤が呟いた。
「柄澤さん!」
小宮山が驚く。柄澤は画面を指差し、
「宮下係長の息子さんだよ」
「え?!」
一番驚いたのは茅野だ。茅野の妻である茅野麗子は宮下徳治の娘だからだ。
「え?でも係長、麗子さんって係長と同じぐらいの年ですよね?」
「うん」
茅野が頷く。
「宮下悟は何歳なんですか?」
「えっと」
古岸が情報を探る。
「…あった、40だそうです」
「あ、年上…」
「よし。じゃあ、原田係長と獅子沢警部補は被害者周辺をお願いします」
「わかりました」
二人はそう言って出ていった。
「古岸と藤原は大塚さんのところへ行って詳しく話しを聞いてきてくれ」
「了解」
「磯城神、小鳥遊は」
「俺たちは現場にもう一度行ってみる。何か見つかるかもしれねえしな」
「分かった。頼むぞ。じゃあ僕たちは宮下悟を探ろう」
「はい」
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