第25話
「…………ぇ、と……?」
「――これは
沙耶と目が合ったかと思えば、すぐに艶やかに微笑んだ蘭月様が、周囲を見渡して
「まぁっ、お褒めに与り光栄で御座います、蘭月様。お口に合いまして幸いで御座いました」
蘭月様の言葉で勢いを得たらしい
その間にも、テーブルを囲む他の妃達は、続々と
「本当に美味しゅうございますわ。……
「いいえ、わたくしの家の特製でございます。また出来ましたら皆様にお持ちいたしますわ」
「まぁ嬉しい! でももっと沢山お造りになってくださいな。わたくし、頂けるのでしたら買わせていただきたいぐらいですもの」
「わたくしも同感です。お売りになれば宜しいのに……」
残念がる妃達の言葉に、満面の笑みを浮かべる
「過分なお言葉、有難うございます。ですがこれは、梅の実と砂糖だけで作る、それはもう希少な蜜なのでございます。大量の砂糖が必要ですので沢山作ることも出来ず、お親しい方への贈答用としているのでございます」
(梅と砂糖だけでアルコール発酵させてるのか……)
一切控えない甘さに、そろそろ原液で飲むのが辛くなってきた沙耶は、そりゃあ甘いわ……と杯をテーブルへ戻した。
「まぁっ、そうだったんですね。そんな貴重なものをこうやって振舞ってくださるなんて、嬉しいですわ」
「いえいえ、新参者ですのでご挨拶は当然のことです。これを機に、というわけではありませんが、どうぞ末長く宜しくお願いいたします」
へりくだって挨拶をする
なにより、当の蘭月様が普段と変わらない様子なのだから、子分達は大人しくするしかない。
……勿論、最下級であることを自覚している沙耶は、誰よりも空気な存在感で、黙々と箸を動かしたのだった。
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