第8話 第2章① VS触手! ツイン・アプロディーテの敗北!?

「大変よ!」

「ビックリした!? いきなり何よ!?」


 学校からの帰り道で突然声を荒げたのは、昨日私たちにエッチな格好をさせ、おっぱいを揉ませたり吸わせたりとんでもないことをさせまくった張本人、セレナ・エバーグリーンその人であった。セレナは慌てた様子で言う。


「街にまた魔物が出現したわ! このままでは人が襲われかねないから今すぐ出動よ!」

「ええ!? 昨日の今日なのに!?」

「そんなの魔物には関係ないわ。すぐに行くからここで変身して!」


 「変身」という言葉に露骨に嫌そうな顔をするみずき。気持ちはわかるけど、残念ながら今は仕方がない。私は「ほらっ、みずき」と促すと、みずきは「わ、分かったわよ……」と観念してくれたようだった。


 互いに左手を掲げ、薬指の指輪が光を発する。その途端、私たちの服が弾け飛び、私たちは完全に裸となる。そんな私たちの身体を、まずはパンツ(Tバック)、ニーハイ、ローファー、ミニスカ、マイクロビキニ、そしてシャツの順に覆っていく。そしてついに、私たちは再び魔法少女「ツイン・アプロディーテ」となっていたのだ。


 ふとみずきを見ると、彼女の相変わらず美しい金色のツーサイドアップの髪がDカップのおっぱいに乗っかっている。どうやら昨日の戦闘の後、彼女はまた魔力を蓄積させて胸を大きくしたのだろう。そんな彼女が誇らしそうに見えたのも、決して見間違いではないはずだ。

 ちなみに私はあの戦闘の後自然に魔力がたまって元のFカップまで戻っていた。


「よし、現場に向かうわ! 二人とも私の腕に触れて」


 セレナの指示通り私たちが彼女の腕に触れると、次の瞬間には、見覚えのある街並みが私たちの眼前に広がっていた。どうやらここは私が買い物をしによく来る商店街のようだ。

 辺りに人の影はない。セレナが既に結界を張っていたようだ。


「魔物がいたわ!」

「げ、あれが魔物なの……?」


 明らかに嫌そうな声でみずきが言う。見ると、その魔物の正体は、地面から無数に伸びる触手状の生物だったのだ。あんなものに捕まったら、大事な部分から中に入られ好き放題にされてしまうのは目に見えていた。


「あれはハードテンタクルよ。あいつに捕まったら服を溶かされて犯され放題よ。二人とも、気を付けてね!」

「死んでもあんなのに犯されてたまるか……」


 私たちは早速戦闘態勢をとる。


「かすみ、一気に片付けるわよ。あんな気持ち悪いやつ、一瞬でバラバラにしてやるわ!」

「うん! 速攻で決めちゃおう!」


 私たちはおっぱいの先端で魔力を作り出し、それを次々魔法へと変換していく。それに伴い、おっぱいは急速に萎んでいくが、今は特にそのことは気にならなかった。速攻でカタをつけるべく、私は猛スピードで触手に突っ込んでいく。


「おらああ!」


 襲いくる触手を数本引き千切る。だが引き千切ったはいいが、触手はその場で修復をはじめ、ダメージが通っているようには思えない。


「凍てつけ!」


 一方みずきはこの前とは違い、氷の魔法で触手たちを一網打尽にしようとする。しかし遠距離からの魔法攻撃を触手は悉く避けてしまったのだ。


「く、当たらない……」

 

 みずきは苛立ちを隠せず爪を噛む。その後攻撃を炎に切り替え、同じく連続攻撃を試みるが……


「かすみ! 危ない!」

「へ?」


 気付いた時にはみずきの火球が私目掛けて突っ込んできていた。私は紙一重でそれらを躱すが、みずきが触手のトリッキーな動きに完全に翻弄されているのは明らかだった。一方私自身も無鉄砲に殴りかかるばかりで、みずきと息が合わせられているとは全く言えない状況であった。


「闇雲に攻撃するだけじゃダメだ……」

「分かってるけど、一体どうしたらいいのよ……?」


 茫然自失の私たち。そんな私たちを嘲笑うかのように、今度は触手たちが上空に向かって何やら液体を散布したのだ。


「な、なに!?」


 空から粘着性の液体が霧のように降り注ぐ。それを浴びると、なんと私たちの衣装が次々と溶け出してしまったのだ!


「こ、これは、溶解液!?」


 言っている間にもどんどん服は溶け出し、特に近くで霧を浴びていた私は一気に丸裸にされてしまう。しかもそれだけではなく、私の身体が急に火照りだし、明らかに呼吸が乱れはじめていたのだ。


「ちょ、なに、これ……? 身体が、熱くて……」

「かすみ!? ちょっと大丈夫!?」

「みず、き……」


 私は明らかに手足の自由が利かなくなっていた。にも関わらず、身体は明確にみずきの方に向かっていた。みずきの服もギリギリ残ってはいたが、ほぼ溶けかけ、大事な部分がこれでもかと露わになっていた。


「ちょ!? あんたどこ触ってんの!?」

「……え?」


 なんと、私は助けに来てくれたみずきの胸を触っていた。氷と炎を打ち続けたせいでみずきの胸はすっかり小さくなっていたが、私は先端の突起物に手を這わせていたのだ。


「こ、こら!? あんた、こんな時にふざけた真似を……ひゃあ!?」


 私がその部分を執拗に攻めると、みずきの身体がビクッと震えた。私はこんな時にも関わらずその部分を更に触りたくなってしまっていた。しかし、それはセレナによって止められた。


「この液体には、多分媚薬が入っているんだわ」

「び、媚薬!?」


 衝撃的なワードにみずきは驚きを隠しきれない。しかし、私がこんな状態になっているのも媚薬のせいと考えれば納得はいった。


「このままでは戦えないわ。そもそもその服を失ったら、あなたたちを守るものはなくなってしまうもの」

「こんだけ露出が多いくせに守ってるって言えるの……?」

「目に見える部分だけを守っているわけではなくて、この服はツイン・アプロディーテの身体を膜のように包んで防御しているのよ。媚薬だって、服さえ溶かされていなければほとんど効かなかったはず。実際服が溶けきらなかったあなたは大丈夫だったでしょ?」

「ま、まあ、確かに……」

「そういうこと。とにかく、今は逃げましょう。一時的に追っ払うから、目と耳を塞ぎなさい」


 セレナの指示を受け、私は朦朧としながらも目と耳を塞ぐ。

 セレナは懐から爆弾の様なものを取り出す。そしてそれをハードテンタクルに向かって投げつけた。途端、それはけたたましい音と共に猛烈な光を放ち、その光を浴びた魔物たちはなんとあっさりその場から逃げ出してしまったのだった。そしてその様子を見たみずきは呆れながらこう言った。


「最初からあれやればいいんじゃないの……?」

「ダメよ。あんなのただの目くらましでしかないわ。しかもこれは貴重品で今は三つしか持っていないの。今一個使ったからあとは二つね。だから大事に使わないと」


 セレナは裸のあたしを背負う。そしてこう言った。


「二人とも、今のままではダメよ。帰ったら特訓だから」

「ええ、なんか古臭い……なろうウケしなさそう……」

「何それ? とにかく反論は認めないわ。魔法少女に敗北は許されないもの。触手に犯されたくなかったら真剣にやることね」


 かくして私たちは、二戦目にして敗北を喫してしまったのであった。

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