第64話 キキの研究

「きゃはははは!」

礼拝堂にて、キキは面白そうに笑った。

「やっぱり私の研究は素敵ね!

テテお姉ちゃんの化け物は殺されちゃったし、私が一番かも!

やっぱり人間ってもろい。どんなに屈強な男でも、心が弱るとすぐに殺せるようになるんだから!」

キキは両手を口に当て、クスクスと笑った。

レレは額に冷や汗をかき、ほとんど動かなくなった。

「さて、私の研究の生け贄になってね!」

キキはレレに止めをさそうとする。

「研究?それは一体……」

レレが息を荒くしながら、つぶやいた。

「そうよ。私達側近はね、それぞれ研究しているのよ。

私は音波で人間の脳に影響を与える研究をしているの!

今の機械の設定は悪夢。一度音波が当たれば、この部屋にいる間、ずっと悪夢が続く。

まあ、なんにもやましいことがない人なら、平気だけどね。

だけど、おじさんの様子……。随分と大きな罪を犯したみたいね。

ここは、礼拝堂だよ!神様にちゃんと反省している様子を見せなきゃ!

さあ、もっと苦しんで!」

レレは何も答えない。

キキは上機嫌に笑った。

自分に完全に優位な状況で、優越感にひたっている。

「あー、あれ、なんだっけ……。国民の間で呼ばれてるやつ……そうだそうだ!『不治の病』だ!」

レレが目だけをキキの方に動かした。

「それね、私が作ったんだよ!

すごいでしょ?この機械から発する音波をね、お城から発している音波に混ぜたの!

範囲が広いから効果は薄まるけど……」

「お城から発している音波?」

キキは口をふさいだ。

「あっ!これ、しゃべっちゃダメなやつだった!

テテお姉ちゃんに叱られちゃうー。

まあ、あなたを殺せば、問題ないか!」

キキがレレの首もとに、鋭い爪をぴたりとつけた。

「さよなら!」

爪でレレの皮膚を切ろうとしたとき、キキの顔面に拳が入った。

キキは後ろに倒れる。

何が起きたのか分からず、戸惑っている。

「何?何で何で何で!?」

「君の研究は、確かにきつい。

頭を始め、体中が痛いよ。

でも……」

キキが再び、レレの首もとを狙った。

それはかわされ、再び頬に打撃が打ち込まれる。

キキの足は、衝撃で地面から離れた。

「茜に叩かれた時の方が、よほど痛かった!」

レレは堂々と言い放つ。

かくして立場は逆転した。

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