第28話 控えの間

門の中に入ると城内までは一本道になっていた。

道の両側には垣根があり、ピンクや紫の花が咲いていた。

また何か仕掛けられているのではないか。

警戒しながら歩いたが、特に何も起こらなかった。


控えの間に入ると大きなシャンデリアが目に入った。黄色っぽい灯りで辺りを照らしていて、部屋全体が黄色の光で包まれていた。

控えの間はとても広くて、大勢の参加者は全員中に入ることができた。その直後、外へ行ける扉が閉じて、鍵がかかった音がした。私達は部屋の中に閉じ込められる形となった。

他の人は周りの様子を注意深くみて警戒している。


「どう?この控えの間は!

私が管理してるんだよー」

参加者全員が中に入ったことを確認すると、テテと名乗った王様の側近は、自慢気に言った。

「皆周りを警戒しててえらーい!

素晴らしいよ! 去年よりは賢い人が多いみたいだね。

でもね、やっぱり頭が回らない人もいるようで」

テテは指を鳴らす。

直後、上からシャンデリアが落下してきた。

必然的にシャンデリアの下にいた人達はその下敷きとなった。

私は再び人が死んだことに動揺したが、先ほどよりもパニックにはならなかった。

この部屋に入った時に、うすうすシャンデリアが危険だということは予想がついていたから。

そして現実感がなくなっていることも大きな理由の1つだろう。

今までに、こんな短時間で人が大勢死ぬ場面を見たことがなかった。

それゆえに、目の前の光景を見て本当に死んでいるのか、疑問に思う自分がいるのだ。


シャンデリアが落ちると、その衝撃で何枚もの紙が宙を舞った。おそらく、シャンデリアの上にあらかじめ置いてあったのだ。

足元に落ちてきた紙を拾う。そこには宝石が1つ、大きく印刷されていた。


「みんな紙を受け取ったかな?

最初の試練はそこにプリントされている宝石を探すこと!

王様は広いお心をお持ちなので、お城の宝石を使うことをお許しになりましたー。

制限時間はないから、焦らず探してね!

でも、お城が大きいから探すの大変だよね?

そこでスペシャルヒント!

城内にいる人はそれぞれの宝石の場所を把握してるよ!聞いてみてね!

では、スタート!」

一方的にルールを説明すると、テテは床の中に消えていった。テテが乗っていた場所は機械によって、上下に動く仕組みになっていた。


私の宝石は青くてダイヤの形をしている。

私はとりあえず、宝石の場所を知っている人を探し始めた。


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