第5話 国について

「他には?」

「この国の様子が知りたいな」

私は即答した。聞きたいことは山ほどあった。

だが、結局何が知りたいのだろうと考えると、おのずと質問内容が決まってきた。

「この国はとっても素晴らしいところなんだよ!」

トトはとても嬉しそうに話し始めた。


「前にも話したと思うけど、この国は1人の王様によって治められている。家臣はいるけど、仕事内容はほとんど事務仕事に近い。王様自身で政治を行っているの。

でも、この国で争いはまったく起きない。

これは、王様の豊富な知恵と人徳がなせる技なんだよ。

皆、王様が大好きなの。私も好き。だって、私の言葉をちゃんと聞いてくれるし、あんな良い王様めったにいないよ。

そしてこの国も好き。皆やさしいもの。国といっても大きさはそこまで大きくないけど、発展していて住みやすい。

ここは独立国家っていったよね?具体的に言うと、独立してるっていうより、この国しかないって感じなんだ。私は他に国があるなんて知らなかった。国という言葉も、呼びづらいから、そう名付けているだけで、国って言葉に意味はないと思っていたし。だから茜が、ここがどこの国か聞いたときにとても驚いたの。他に国があるんだって。

他にもたくさん話したいけど、大まかな国の様子はこんな感じかな」


話の序盤から、日本と全然違うことに驚いた。日本は民主主義国だから、国のことは議会で話し合って決める。それに争いがないというのも全然違う。

私の世界では、争いが絶えず続いて、秒単位で人が死んでいく国がいくつもある。

もし、トトの言ったことが全て本当なら、なんて理想的な国なんだろう。


「そうだ。町に行こうよ。

話を聞くより、そっちの方がよく分かるよ」

「え?」

私が答える前にトトは私の手をひいて外に飛び出した。


「行ってきまーす!」

トトと私は玄関を飛び出した。

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