第2話 落ちた先

深く、深く、落ちてゆく。


あらゆる感覚が上手く働いていない。


焦っても仕方ない。

私はこの状況に身を委ねた。


辺りを見渡す。景色は一面の黒。


複雑なものが混じりあわないその景色は、不思議と心地よく思えた。


黒い景色ばかり見ていたら、気が変になってしまうかもしれない。私は再び目を閉じた。











ドポン!

急に感覚が変わった。

黒は黒だが、何かに触れている。

そして息苦しい。

私は今どこに落ちた?

水?

水の中に落ちたの?


状況が上手く把握できない。

どうすればいい?

肺から空気が漏れ出て、水が入ってくる。

意識が……遠のいて……。



体から力が抜ける。私は死ぬのだと自覚した。

一切の抵抗をせずに、緩やかに落ちてゆく。

浮かんでいく細かな泡が、やけに綺麗だった。



ここで終わりかあ。私の人生。

水死は苦しいから嫌だったんだけどな……。





でも悪くないな。こんな死に方も。




















何だろう?

白い、一筋の光が目に映った。

だんだんと近づいて来ている気がする。

良く見ると、これは光じゃない。

蛇?


はは、死に際で幻が見えるようになったか。


そこで私の意識は

ぷつりと切れた。

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