第2話 落ちた先
深く、深く、落ちてゆく。
あらゆる感覚が上手く働いていない。
焦っても仕方ない。
私はこの状況に身を委ねた。
辺りを見渡す。景色は一面の黒。
複雑なものが混じりあわないその景色は、不思議と心地よく思えた。
黒い景色ばかり見ていたら、気が変になってしまうかもしれない。私は再び目を閉じた。
ドポン!
急に感覚が変わった。
黒は黒だが、何かに触れている。
そして息苦しい。
私は今どこに落ちた?
水?
水の中に落ちたの?
状況が上手く把握できない。
どうすればいい?
肺から空気が漏れ出て、水が入ってくる。
意識が……遠のいて……。
体から力が抜ける。私は死ぬのだと自覚した。
一切の抵抗をせずに、緩やかに落ちてゆく。
浮かんでいく細かな泡が、やけに綺麗だった。
ここで終わりかあ。私の人生。
水死は苦しいから嫌だったんだけどな……。
でも悪くないな。こんな死に方も。
?
何だろう?
白い、一筋の光が目に映った。
だんだんと近づいて来ている気がする。
良く見ると、これは光じゃない。
蛇?
はは、死に際で幻が見えるようになったか。
そこで私の意識は
ぷつりと切れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます