世界の諦観
「か…肩身が狭い……。」
佐官級さえほぼいない中、僕だけ「少佐」の階級章を提げて居座るのは苦しい。
「気にするな、休憩中だ。」
「そうは言いましてもねぇ…」
空気感が休憩のそれじゃない。
「黒板に落書きしてる奴もいなければ、机の上で踊ってる奴もいない…。これで休憩なんて無理がありますよ」
「中学校か
「中学校と同列に並べられる
「案外話しやすい方も多いぞ、ここは。」
「そう言われましても…。僕少佐ですよ?場違い感半端ないですって」
「一度この会議室を回ってみろ。ほら、壁には本棚もある。アレでも読みつつ巡回してみればいい。新たな出会いがあるかもな」
「僕そんな出会い厨じゃないです」
「とにかく。行って来い」
伊地知に背中を押されて渋々歩き出す。
少し歩いて振り返ってみたが、どうやら彼は廊下へ再び煙草を吸いに出たようで、その姿はなかった。
「えぇ…どうするかなぁ……。」
知らない人々、しかも立場が隔絶した集団の中に放り込まれて一人彷徨うのは、非常に心細いものだ。
錚々たる肩書の付いた座席の真後ろをフラフラと歩き、窓側に出る。
「お」
そこの本棚から『要塞論』と記された本を取り出す。
窓枠に持たれつつ、風に吹かれるままに適当にペラペラと読み飛ばしていく。
(あー…この戦術はひっくりかえるなぁ…。塹壕戦で戦車が出るから、この形の防衛陣は20年後には姿を消すか)
気のままにに知識と照合しつつ。
(…うーん、この本の著者はシュリーフェン絶賛論者かぁ…。確かに要塞戦だけを考慮じゃこの計画はプロイセンらしい完成度だけど……)
「『要塞論』、か。…いいものを読んでるではないか」
おもむろにかけられた声。
振り返った先には、柔らかな笑みを浮かべた将官が立っていた。
「はっ、将軍殿――」
「よい。儀礼は求めん、楽なままでよい」
「は、はい…」
彼は僕の手元の文章に視線をやる。
「プロイセンのフランス進攻計画か…。確かに著者の語る作戦は完成度が高いな」
「…既知かつ既存の戦術のみで語るならそうですね」
「ほう?」
「いえ、たかが少佐の妄言です。お許しを」
「階級とかは気にしない、聞かせてくれるか?」
少し感服した。形式的なものはあまり気にしない空気か。
確かに、伊地知の言う通り少し気楽でいいのかもしれない。
「…多分これは、皇國陸軍の新戦術でひっくりかえります」
「へぇ…。どうと?」
「塹壕、ご存知ですか?」
「戦術理論上は聞いた。…というか貴官の方こそよく知っているな。その戦術はまだ陸軍上層部のごくわずかでしか検討されていない筈だが……
…いや、貴官なら有り得るか」
「え?」
「あ、いいや何でもない。続けてくれ」
取り繕うように彼は首を振った。
不思議がりながらも僕は喋る。
「塹壕戦、という新しいドクトリンが生まれると思うんですよ」
「…ふむ」
「塹壕は鉄条網と組み合わさることで歩兵突撃を無効化します。砲撃にも長期間絶えるんです。…既存の要塞より、土掘ったほうが強いまであるんですよ」
「そうか?それは流石に言い過ぎでは…」
僕は窓の先を指した。
「そこにロシア軍が迫るとするじゃないですか」
「……うむ」
「僕らは塹壕に籠もって、鉄条網の内側で銃を構えますよね」
「ほう」
「ここで一つ伺います。戦場ではどうして敵前に大の字で阻み立ってはならないのでしょうか?」
「…それは、敵前に晒す面積が大きい程、撃ち抜かれやすくなるからだ」
「そう。つまり敵に向する面積が小さければ、それだけ撃たれにくい」
懐を漁って、裁縫の真似事をして失敗した網切れと、一枚の紙を持ち出す。
「網と紙、どちらが正面の表面積が小さいでしょうか?」
「……網だな。」
「ならどちらのほうが風に吹かれて飛ばないでしょうか?」
「網だ。風通しがいい」
「つまりは、そういうことです」
再び窓の外へと視線を向ける。
「銃撃を透過するも、歩兵の突撃は阻む。塹壕に籠もってさえいれば、一方的な防衛戦を展開出来るのが鉄条網です。」
「いや、それでも敵の重砲攻撃には――」
「網は風通しがいい。」
「……そういうことか」
全てを察したように彼は頷く。
「野戦砲支援の無効化、敵突撃の無効化。ここまで既存の戦法ひっくり返す防衛チートはなかなかありませんよ」
「チー…?」
「あっ、いや戯言です。」
僕は本に載っている図面を指す。
独仏、ついでに道路たちの西欧国境の地図だ。
「兵員総出でスコップ持って掘りますよね」
「ほ、ほう」
「一人一日深さ2mで2m掘り進むと仮定しても、5日あれば一個師団2万人で200kmの要塞線を地上に描くことが出来ます。すると――」
ゆっくりと地図上をなぞってみせる。
「1ヶ月あれば、塹壕線は独仏戦線を覆って海に到達してしまいます。」
「……っ!」
「いわば塹壕は『どこでも要塞』です。この本の通りにプロイセン軍がフランスに進攻した場合、
「…ま、まさか……。そこまで列強も馬鹿じゃあるまい…」
「さて、どうでしょうか。人間は常に賢くあれるわけじゃありませんから」
僕は肩をすくめてみせる。
将官は震えの残る声で返す。
「……いやはや、流石だ。本当に、貴官は」
「まさか。ただの知識の受け売りですよ」
「12年前と同じく、また教示を受けてしまったな…。」
その言葉に疑問符が浮かぶ。
「12年前、といいますと?」
「ああ。12年ぶりだ。――岡山で怒鳴り合って以来だ。」
頭を駆け巡る記憶。
「…待って下さい。ちょっ、ちょっと待って下さい」
「覚えていないか?西部方面軍司令の椅子に座っていた愚将のことは」
「え?嘘ですよね、えっ…」
地獄の渡河戦の司令部、飛び交う罵声。
” 中将閣下は枢密の傀儡であせられますか?”
「申し遅れたな。」
彼は僕へ向いて、おもむろに姿勢を正した。
かくて、その口から将官の名が紡がれる。
「――
愕然の余り、本を手から離し、足元に落とした。
・・・・・・
・・・・
・・
「怖かったんだ。自分がな、この脳がな、枢密院に呑まれてるって自覚した時。」
しみじみと彼は言葉を紡ぐ。
「『中将閣下は枢密の傀儡であせられますか?』。今でも鮮明に、脳裏に残ってる」
「…あの節は本当に申し訳ありませんでした」
「違う。儂は怒ったわけじゃない。むしろ…背筋がゾッとした。言い当てられた瞬間、本当に、背筋から紐が伸びて、枢密へ繋がってるように感じてな。」
正直、そこまでのことを言ったつもりはなかった。
言葉の持つ力は、使う側より受け取る側のほうが大きいとはよく言ったものだ。
「自分の存在意義を見失ったよ。枢密の操り人形、いわばもはや『肉塊』に等しいのだからな。」
それが怖かった、ただひたすらに怖かったのだと彼は続ける。
「――そういうわけで、な。あの内戦の後に、兵学書を全般洗いざらい勉強し直した。一部は日清戦役で試しさえした。」
「そんな…。たかが准尉の戯言にそこまで」
「いいや、これは自戒だ。枢密院に依存する怖さを、儂は身を以て知れた。」
きっとその果ては――、と、大山は言いかけて、口をつむぐ。
皇國陸軍軍人として、言ってはいけない続きがあったのだろう。
「だからな、感謝を伝えたかった。12年越しになってしまうが、申し訳ない」
「いえそんな…」
顔を上げる。
すると、大山の他にもう一人。幾つも勲章を垂れ下げた軍人がニヤリと笑いながら、こちらを覗いていた。
「おお、大山総軍司令。その子が例の『中将に喰らいついた准尉』で?」
「…乃木希典。タイミングを考えろ」
その名に戦慄する。
え、嘘だろ何この豪華メンバーは。
「ずるいじゃぁないですか司令だけ。例の有名な『北鎮の超新星』、私も会ってみたかったんですよ」
「ちょ…超新星って……え、なんですかそれ恥ずかしい」
「聞かないのか?陸軍上層では結構知れ渡っておるぞ」
「…マジですか」
渾名で辛いのは今になってもか。
乃木は僕に視線を合わせてニィと笑う。
「――反骨精神は嫌いじゃない。これからも精進しろよ。」
「…はっ!」
かかかっと乃木は笑って、踵を返そうとした。
が、立ち止まる。
「そうだ、貴官が原立案者なんだっけか?今次作戦の」
「見方によっては…、ですね」
「よし。――これから再開する総軍会議で、概観を説明してみろ」
「……え?」
僕は固まった。
「おい流石に乃木、それは…」
「正直まだ全貌が見えずに困ってる将も多い。発案者の口から『電撃戦』とやらを説明してもらうのが一番だ。
――そういうわけで、頼んだぞ!」
乃木はそう言い残して立ち去る。
「え、えぇ……??」
かくて、僕は直属の上部機関たる満州総軍司令部で、この『
・・・・・・
・・・・
・・
「日本軍の攻勢が止まった?」
世界に冠たる大英帝国では、極東の大波乱に注目が集まっていた。
「ほぉ、連中も攻勢限界に達したか?」
「宣戦布告前の奇襲で隙を突いてみたはいいものの、後が続かなかったか」
「当たり前だ。1週間で490kmの行軍…。やつら、相当軍馬に無理をさせたらしい」
「クハハッ!文明もまともにない劣等人種にゃ、西洋式軍馬なんか使えんよ」
ただ、その興味も戦線が停滞するにつれ、日に日に薄れていった。
「もう蛮族共は最大進出線に達したんだ。これ以上の攻勢は不可能だな」
「補給路的に無理だろうな。伸び切って余地がない」
「やつらに港湾を整備する技術も、鉄道を敷設する知能もあるとは思えない」
「はは、なんたって国力差10倍以上の戦いだしな」
既に皇國の戦争遂行能力は限界に達している、そう目されていたのだ。
「奇襲とそれに続く行軍速度を無視した強行浸透…、その末に、遼東半島奥深くまで引きずり込まれたんだ。」
「もはや戦争疲弊は最高潮に来ているだろう…。まぁ、列強側に攻め入れただけは、善戦した、と唯一評価できるところかもな」
「あとはロシア軍の反攻に押し潰されるだけだ」
「――趨勢は、決したな。」
ロンドン株式市場の対日投資は乱高下し始めていた。
「それに――どうやら連中嵌められたようじゃないか」
加えて、ロシアの公式声明が功を奏し始めたのである。
「おお…。残念ながら、日本人は見事にしてやられたようだ…。」
「ロシア人に奥地へ引きずり込まれたのか。……やはり頭脳は蛮族だな」
「ハハハハハッ!」
ベルリンのビールバーでは嘲笑が響く。
「かのナポレオン率いる我らの旧帝国を打ち負かしたロシアの戦法だ。」
「東欧でやろうが極東でやろうが結果は変わらないだろうな」
「非文明圏の限界ってやつよ、未開国は野蛮人らしく文明化される運命さ」
「はははっ、白人に敵うはずがないだろう」
パリのワインバーではくすくすと嗤笑が漏れる。
「祖国が栄えある孤立を破ってまで同盟した連中、負けそうだぞ?」
「焦土作戦するってんだからロシアは消耗してくれる。上等だ」
「そうだぞ、偉大なる白色文明にサルの敗北という結末は歴史から見えている。目的はロシアの損耗だけだ。」
バーミンガムの紅茶屋では当然と言った表情で受け止められる。
同刻、妥協本部。
「あまりよろしくありませんわね、情報戦で圧倒的不利に立たされておりますわ」
「……帰還したばかりの俺に今言う?それ」
「貴方様が旅順を攻略した張本人でいらっしゃるから言っていましてよ?」
「いや、軍人としてやることはやったぞ?たった1週間で陥落せしめた」
「ええ。戦費と損害を圧倒的に抑えられたのですから十分ですわ。問題はかえって世界にロシア優位を印象づけてしまったところでしてよ」
「それ枢密院とかお前がやることじゃん」
秋山がそう言うと、
「……全くその通りですわね。」
「…は?」
その言葉に拍子抜けしたように秋山は返す。
「……らしくもねぇな、いつもみたく傲慢不遜に『貴方も
「貴方いったいわたくしを何だとお思いになさって??」
「悪役守銭奴」
それを聞いた瞬間、有栖川宮はくすくすと笑ってみせる。
「もはや令嬢、とすらおつけになさらないのでして?」
「……お前本当に大丈夫?お疲れ?」
いつもとはかけ離れた有栖川宮の姿に慄く秋山。
「てかお前もう日付回ってるぞ。はよ仕事中断して寝やがれ、眠いからキャラ崩すんだよ気味悪いからマジで休め」
「まだ、仕事は終わってませんもの」
「あのなぁ…この量を今日中に終わらせるつもりか??」
秋山は机に堆く積み上がった書類の山をうげーと言いながら見上げる。
「労働効率ってのがあってだな、詰め込んでもいいことなんかねーよ。明日にでもやれ、ソッチのほうが早く片付くだろ」
「それは…できませんわ」
有栖川宮はペンを持つ手を止めない。
「資金集めは、時間が要ですの。機会を逃せばそれで終わりでしてよ」
「人間限界ってのがある。それ超えてやっても大して効果なんか――」
有栖川宮は横に佇む秋山の袖を振り返って小さくつまみ、寂しげに笑った。
「――また貴方がた軍人を、裏切るわけにはいきませんもの。」
「………ッ」
秋山はその言葉に沈黙する。
「枢密もわたくしたちも史実より遥かに早く展開する戦況に、情報戦において初動が遅れたんですの。それゆえ資金集めに失敗して、戦争継続が不可能になったら――。北方戦役と同じですわ。」
「…おま、そこまで――」
「貴方がたを戦わせておきながら、史実を参考にしたツケ、わたくしたちの不手際で失敗する。そんなこと、二度とあってはいけませんもの。」
有栖川宮は静かに秋山の両手をつつむ。
「――また貴方を、苦しめたくはないのです。」
「………っ!」
秋山はやっとのことで有栖川宮の小さな手を振りほどくと言った。
「あー…わかったよ。」
その投げやりな呟きに有栖川宮はくす、と笑いを零したあと、すぐに机に向き直る。それを背後に、秋山は踵を返して部屋を出る。
外気に晒される渡り廊下に出てる扉を彼は静かに開け、外へ出た。
この時代まだ田園が広がる限りの、帝都郊外の闇夜。2月のしんしんと降り積もる雪の中、彼は煙草を咥えて火を点け、ふぅと煙を吹く。
「……はぁ、持ってってやるか。」
決心したように彼は呟いた。
そうして部屋に戻ってからあるものを持ち出し、有栖川宮の執務室へ戻る。
「…ほれ」
「……これは…?」
ふぁさ、と秋山が後ろから背中にかけた毛布の端を、有栖川宮は指先で持ち上げて振り向く。
「今晩は寒いからな。」
「……そこまでして頂かなくても」
秋山は笑ってみせる。
「てめーが風邪なんてひいて寝込んでみろ。お前の手足になって諸外国走り回ってる高橋是清が可哀想だろ」
「………っ」
赤くした顔を背けた有栖川宮の机上に積み上がった書類を再び見上げ、秋山はそれを半分ほどかっさらっていく。
「な、なにをなさって…!?」
これには有栖川宮も驚いて秋山を凝視した。
「半分くらいやってやる。徹夜でやるよかマシだ」
「別にわたくし一人で十分ですのに…」
「お前ここ最近徹夜だろ。その金髪すら整える余裕ないっぽいしな」
「……っ!」
ぼさぼさになっている自身の髪を有栖川宮は恥ずかしそうに梳き上げる。
「……財務方面の知識がなさらないと無理でしてよ?」
「こう見えて俺は海軍会計部だったことがある。」
「…こんな夜遅くに女と共同作業、奥様に怪しまれませんの?」
「残念ながらこう見えて俺は女性関係を持ったことがない。史実だと去年結婚してるはずだがどうして未だにお見合い一件すら来ないのか不思議なところだ」
「まぁその変人ぶりじゃ無理ですわね」
「テメーにゃ言われたかねぇわ悪徳令嬢」
それを聞いて、有栖川宮はようやく秋山に笑いかける。
「ふふっ、なら宜しくお願いしますわね。」
「やってやらぁー…!」
秋山の投げやりな返事の後、雪降りしきる漆黒の妥協本部には、丑三つ刻までカリカリとペンの音が響いていた。
・・・・・・
「…ふぅ、あらかた『奔星』の戦力整備は完了か。」
明朝、薄碧と濃霧の織り成す帝都の寒空に伊地知は白い煙を吐き出す。
煙管を再び咥えて彼は手元の資料に目を戻した。
「練度上々、機甲部隊はいつでも旅順に輸送ができる。…さて、あとは遼東半島の占領報告を待つだけ――「キャァァアアア!!」…ッ!?」
突然遮った悲鳴に思わず彼は煙管を落とす。
(侵入者かぁッ!?)
右腰の軍刀に手を添えつつ悲鳴の聞こえた方へ駆け出す。
素早く廊下を走り抜けて角を左に曲がる。
「なにがあった!?」
ダァンと勢い良くドアをブチ開けると、そこには毛布にくるまって床に横たわる秋山と、その毛布の端を両手で掴み上げながらげしげしと彼を踏み付ける有栖川宮が。
「こんのドロボー!返してくださいましぃいいい!!」
「嫌だ!寒い!寒い!!」
「この毛布は貴方がわたくしに持っていらしたんしてよ!?」
「だからなんだばーか!」
「……なにやってんだお前らこんな朝っぱらから…。」
22歳の姫に蹴られ続けながら意地でも毛布を離さない36歳の海軍大佐の図を前に、伊地知は当惑してそう尋ねるしかない。
「この素っ頓狂な奇怪単細胞がわたくしの毛布を奪ったんですわ!」
「寝落ちしたあと身体が勝手に毛布を手繰り寄せたんだ!恣意じゃない!」
「恣意的じゃなければよろしいとおっしゃりますの!?!」
「ああそうだ無意識ならセーフだ!」
「へぇ初耳ですわね、ならわたくしの手も勝手に海軍予算額の数字を…」
「やめろ!それは故意だ!明らかに不法だ!この悪徳令嬢めぇッ!」
(宿泊体験中の小学生かこいつらは……。)
伊地知は額に人差し指を当てて呆れ返る。
「……あぁもう二人で勝手に遊んどけ。」
「なんでこんな地球外生命物体と!!」
「なんでこんなクソガキ守銭奴と!!」
同時にそう返す二人に踵を返し、彼は半ば投げやりに捨て台詞を残す。
「――本当に仲睦まじいことで」
「「仲良くだなんて!!」」
取っ組み合いを再開する二人を背後に伊地知は疲れ顔で退室する。
本土の
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