Data.3 最速のリベンジ!
いたいたぁ!
まだ呑気に森の中をほっつき歩いてる強奪犯3人組がいた!
「待てぇ! お前ら!」
「あぁ? って、お前さっきの無知野郎じゃん! メダルを返して欲しいのか? 残念ながらそれは出来ないなぁ」
「ただで返してもらおうなんて思ってないさ。お前らに賭けバトルを申し込む!」
「ほー、多少はシステムを学んできたか。だがしかし! 賭けは賭けるメダルがなければ成立しない! お前には……」
「あるさ! ここにな!」
俺は腕に取り付けられているメダルスロットのカバーを開ける。
そこには手に入れたばかりの最高レアリティ『クロガネ』のメダルがセットされている。
それを見た強奪犯どもの目の色が変わったのは明らかだった。
「な、なぜあいつが俺たちでさえ持っていないクロガネのメダルを……?」
「交換か? いや、そんな都合よく最高レアリティを交換してくれる仲間がいたとも思えねぇ」
「まさか……あの噂のクソガチャで当たりを引いたのか?」
クソガチャという呼び方であのメダルガチャの排出率が真実だということがわかった。
やっぱクロガネ1%なのかい!
ラストチャンスなのに渋すぎる!
「まあいい、もうじき俺たちの物になるんだからな」
「待て。賭けを受けなくともメダルの効果で奪えば……」
「おいおい忘れたのかよ。『強奪の勲章』の効果は1日に1度だけだろ」
「そうだった! わりぃわりぃ!」
「相談は終わったか? で、賭けを受けるんだな?」
「ああ! 代表は俺だ! お互いメダルを一枚ずつ賭ける! お前は一枚しかないからクロガネのメダルで決定! 俺も持ってる中で最高レアリティ……ゴールドの『強奪の勲章』を賭けてやる!」
こちとらあいつらをぶっ倒せればそれで良かったが、問題のアレをわざわざ賭けてくれるのか。
やつもなかなか燃えているようだ。
「賭けは成立だな。で、戦いってどうやって始め……」
「じゃ、遠慮なくぶっ殺させてもらうわ!」
男が腕から炎を放つ。
それは風に煽られて渦巻き、巨大な旋風となった。
「
急に専門用語連呼しすぎ!
ぜんぜんわかんないって!
でも、これを食らったらヤバイのはわかるぞ!
熱風をリアルに肌で感じられる。
対処しなければこのメダルも失ってしまう!
「……俺のメダルってどういう効果なんだ?」
また効果確認忘れてた!
すぐに突っ走るのが俺の悪いクセ。
だが、このまま突っ走るしかない!
「えっと、武器こい武器!」
右手に白銀の剣が現れた!
あのメダルに刻まれた剣そのものだ。
神聖さを感じされる輝く刃、ガッチリと重厚な造り。
つばの部分にはメダルサイズの穴……いや、ガラスがはめ込まれている。
特に何も映ってはいない。
「うおおおおおおおおお!!」
剣で炎に斬りかかる!
リアルならば無謀な行動。
しかし、ここはメダルが支配するファンタジー世界メダラミア。
あり得ないことも起こる。
「炎が……剣に吸収された!」
俺は驚く。
敵も口をあんぐりと開けて驚いている。
剣のつばのガラス部分には、さっきまでなかった炎の模様が浮かんでいる。
『早く反撃するんだにょん!』
頭の中に声が響く。
ハッと我に帰り、その刃を敵に向けて振り下ろす。
でも、位置が見当違いすぎる。
これでは刃は届かない……はずが、やはりあり得ないことが起こる。
今度は剣から炎がはなたれた!
旋風にはならず、斬撃波となって敵を真っ二つに切り裂いて焼く!
「あああああああああッ!?」
驚きと困惑混じりの断末魔をあげて男は消滅した。
もちろん死んではいない。
どこかに戻されただけだろう。
同時に俺の手元にメダルが飛んできた。
金色の枠の中に黒い手、その手は輝くメダルをたくさん握りしめている。
見ただけでこれが『強奪の勲章』だとわかった。
「お、お助けーーーーーーっ!」
「すいませんでしたああああ!」
残った二人の男は逃げ出した。
逃すか……と思ったけど、追う意味はない。
あれを見た以上あいつらは俺の賭けを受けることはないからだ。
無意味にキルするのも気分がスッキリすると思うが、今回はもう満足だ。
「それにしてもこの剣にあんな効果があるなんてなぁ!」
『それをちゃんと調べてから戦うのが普通なんだにょん!』
「うわ!? チャリンどこにいるんだ!?」
『ふふふっ、今は直接脳内に語りかけているにょん! 私みたいな大人気のアイドル兼マスコット兼宣伝部長が1人のプレイヤーに肩入れしてるなんてバレたら面倒なんだにょ~ん! 他のプレイヤーがいる時は姿を隠すにょん!』
「へー」
『そんなことより! なんて危ないプレイングをしてるんだにょん! 持ってるメダルの効果も知らずに賭けバトルなんてどうかしてるにょん!』
「いやぁ、それはごもっともで」
『クロガネのメダルはオンリーワンの効果を持っていて確かに別格強いにょん! でも、場合によっては低レアリティに負けることもあるにょん!』
「今回もカウンター効果がなかったら負けてたなぁ。ちゃんと反省してるって」
「ほんと~? なら今すぐ村に帰って3つのメダルをチェックだにょん! 自分を知り敵を知れば百戦危うからず……だにょん!』
「わかった……あれ? メダルは剣と強奪のやつだけじゃ……」
『ふっふ~ん、メニューからメダルボックスを見てみるにょん』
メニュー……メダルボックス……これか。
あっ! 確かに3枚目のメダルがある!
レアリティはゴールド。
名前は『
渦巻く炎が刻まれたメダルだ!
それに……。
「これはあいつが使ってたメダルだ!」
俺もメダルを奪ってしまったのか?
それともコピーなのか?
効果を読まないとそれもわからないな。
よし、今から効果を確認しよう!
『いや、とりあえず非戦闘エリアに戻るにょん! ここはまったく気が休まらないにょん! キミ図太いね! でも、そうでなくてはこのクソ……神ゲーは遊べないにょん!』
「ああ、神ゲー始まったな! もうメダルは奪わせねぇ!」
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