# 4. 吐け! 吐くんだ!!

「ふむ。……むぐ……」

「って、なに食べてるのー!?」

「……むぐ……ふぇんりふぃんふぁ」

「戦利品?? え、戦利品って言った!?」


 美味しそうにこくりとうなずく様子は、いつもとあまり変わらずにふわふわしていて。

 喋らなければいつも通りかも。


 ……って、そうじゃない!


「落ちてたタコ焼き食べたの!? ちょ、ちょっと! 吐いて! 吐きなさいよー!!」

「むぐ。ごくん」

「え」


 いま、ごくんって言わなかった?


「……もう食ってしまった」


 キリッ!

 って聞こえてきそうなキメ顔で言うなあああ!


「あああ……!! ちょっと! 止めたあとに飲み込んだでしょ!! わざとでしょ!!」

「豊かな味がして美味かった」

「ダメだこの子、まるで反省してない……! 早くなんとかしないと……!」

「この時代の食い物はほかのものも美味いのか?」

「うーん、さっきのタコ焼きがどう美味しかったのかわからないから、比較しようがないんだけど」


 話が微妙に通じているようで通じていない気もする。


 うーん、なんていうの?

 もしかしてこの会話、一方通行なんじゃない?


「って、そうじゃなくて! そもそもなんで食べたの? お腹空いてたの? 家出る前に食べたでしょ」

「覚えていない。が、腹はそれなりに満たされていた」

「なら何故食べたし!」


 中の人、おじいちゃんなの?


「タコ焼きは食い物だとお前は言う。香ばしい香りもするのだ、ならば口に入れてみたくなるものだろう」


 口に入れてみたくなるものだろう。じゃない!


 犬か!


「ようするに、そこに食い物があったから食った」

「言い直さなくて良いよ!」

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