# 3. やったか!?(やってない)

「もう、本当にどうしちゃったの!」

「だから俺は転生したんだと……」

「そう言うの間に合ってるから!」

「なんだ? ほかにもこの身体に転生したやつがいるのか……?」

「なんでそんなホイホイ転生するような設定なのよ」

「設定じゃないんだが」


 眉を寄せる幼なじみを眺めていると、あることに気づいた。


「あっ、よく見るとシャツに汚れがついちゃってるじゃない。シミになっちゃう!」

「む、これがこの時代のタコの墨か……。香ばしいな」

「タコの墨じゃなくて、タコ焼きのソースね」

「タコのソース? この時代のタコは香ばしいソースを吐くのか?」

「ソースは吐かないからね。それはタコ焼きのソースだからね」

「あれはなんだ? タコのドロップか?」

「聞いてた?」


 聞いてないでしょう?


 地面に落ちていたタコ焼きを真顔で指さす幼なじみは、なんだかとてもシュールな感じがする。


「ドロップて……。確かに落としたタコ焼きだけど、たぶんあなたが言うのと意味が違う気が」

「タコ焼き……。タコ焼きはなにをするものだ? 敵に投げつけるのか?」

「ソースって言葉が出てる時点で察せない?」

「そうっすか……」

「……」


 まさかダジャレを返されるとは思わなかった。


「タコ焼きは、食べ物よ」

「食い物か……なるほど」


 うんうんと幼なじみが頷く姿を眺めてみる。


 それにしても、なんでこんなにスラスラと中二設定が出てくるの?

 アドリブでしょう?


「タコはお前が殺ったのか?」

「殺るわけないでしょ!」


 確かに、タコ焼きだから、タコは調理時点で殺られてたけど。


 だとしても私は殺っていないからね!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る