# 1. 朝ごはん食べて学校行くよー!

「てんせい」

「お前には、俺が何を言っているかわからないだろう」

「そうだね。寝言は寝て言おうね」

「だが、俺はほかのじだ」

「ほらほら、いいからちゃんと起きて?」


 続きをちょっと聞いてみたかったけど、話が長くなりそうな気がしたので無理やりぶった切る。


「む……」

「のんびりしてると遅刻しちゃうよ!」

「遅刻? 何に遅刻するのだ? 何かの作戦の実行中か?」

「えええ……」


 もしかしてわざと忘れたふりをしているのかな、この子は……。


 と言うか、作戦ってなに?


「そんなに学校に行くのがいやなの?」

「学校……? そうか、学校か!」


 あれ? 学校って聞いて嬉しそうにしてる?


 ううん? おかしいなあ。


 気絶する前までは「学校になんて行きたくないー!」って駄々こねていたのに。


 それなのに、「学校楽しみだな」なんて聞こえて来そうなこの笑顔。

 キラキラと眩しいんだけど!


「どうしたの? 気絶した時に良い夢でも見たの?」


 それに、すごく態度が変わっているんだけど……。


「だから言っているだろう、俺は転生者でその記憶を思い出したと」

「記憶うんぬんは今初めて聞いたから!」


 世の中には転生者と自称する人がたまにいるけど。

 そこに何か憧れでもあるのかなー。


 だけどまさか、幼なじみがそう言い出すなんて、思いもしなかった。


 はっきり言って、この子は嘘や演技が下手。

 だからここまで変だと、本当に中の人違うんじゃない? って思いそうになる。


 いやいや、そんなわけないじゃない。


 きっと男の子にありがちな、なんかの病に発症したのかも?

 ……直前までそんな素振りなかったけど。


「それで転生者さんは、何がきっかけで思い出したの?」


 そんなにのんびりしていられないけど、少しくらいは時間あるし。


 しょうがないから、その転生者ごっこに付き合いましょう!


「知らん」

「知らんて……」


 力強く答えられて、脱力しそうになる。


「知らんが、俺が情けなくも気絶していたと言う原因を知りたい」

「なんで?」

「何があったのだ。おそらくそれが原因だろう」

「何があったのだ、って。覚えてないの?」

「ああ」

「知りたいの?」


 あんな情けない理由で気絶していたのに?


「ああ」

「後悔しない?」

「……あ、ああ」


 あ、ちょっと引いてる?


「じゃあ言うね」

「……ああ」


 なんか反応が面白いし、私もこの子のノリに少し乗ってみよう。


「あなたは襲われたの」

「……何者に、だ」

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