19話 魚釣島の清明 9/16
島の小さな入り江に入ると、山の中腹の生い茂った緑の中に、巨石が二枚支え合うように
「メイシア、もうすぐだよ。
「うん。大丈夫だよ。……。」
ナギィが、大丈夫と言いながら遠くを見つめるメイシアの目線を追った。
「あ、あれ? 」
「うん。大きな岩だね。」
「あれは、
「ウタキ……?」
「お祈りをする場所。オバア達が、一生懸命祈っているんだよ。」
「何のお祈りをしているの?」
「それは、
急にナギィが何かを見つけたようだ。
「どうしたの?」
「オバアがいる!迎えにきてくれたんだ!……おーーーい!オバア、来たよーーーーー!」
ナギィの視線の先を見ると、小さいながらも
「オバアーーーーー!」
さっきまで静かだった
「あの人が……」
「そうさぁ!
「私が……?」
「うん。この前、オバアが
そんな話をしている間に、船は桟橋に付いた。
「森榮、なに、
慌てて森榮が船首に移動し、床に転がっていたロープを老婆に投げた。
老婆はそれを受け取ると、手慣れた手つきで
「よぉ来たさぁ。ナギィ、森榮。」
そういうと、老婆は船首にいる森榮に手を伸ばした。
「オバア、ワンが来るの知ってたさぁ?」
森榮は嬉しそうにそういいながら、老婆の手をとって桟橋に飛び移った。
「そうさぁ。ちゃーんと、わかってたさぁ。」
「オバア、すっげぇ!」
「……
老婆がメイシアを見据えた。
一瞬鋭い視線に感じたのだが、すぐに優しい目に変わり、メイシアに手を伸ばした。
「ワシはカマディ。この
メイシアは、カマディーの手を掴み、昨日の二の舞にならぬよう、一気に桟橋に飛び移っった。
「ありがとうございます。……はじめまして。私はメイシアと言います。」
「これは、ナギィがちょっと前まで着ていた
カマディはにこにこと、メイシアを見た。
「ちょっと、オバア。ちょっと前って言っても、もう何年も前のことさぁ。」
と少し笑いながら、ナギィも桟橋へ飛び移った。
「そうだったかね、もうワシくらいの歳になると、時が流れるのなんてあっという間さぁ。はははは」
カマディと名乗った老婆の装束は、ナギィや森榮とは少し違っていた。
上に羽織った白い丈が長めの着物の中は、これまた白い着物と下は青色の袴。
首から勾玉をさげ、頭に幅の広いハチマキを巻き、額まですっぽりと覆っている。
そしてそのハチマキの上から、何かの植物の葉で編んだ冠をしていた。
「森榮なんて、先月産まれたようなもんさぁ。ははははは」
「もぉ、オバア、ワンはもう
森榮が、カマディの袖を引っ張った。
「おーおー、そうじゃったな。すまんすまん。」
そういって、カマディは森榮の頭を撫で、森榮が可愛くて仕方がないというような表情になった。
「さぁさ、ここで長話もなんだから、
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