29.夜
怜央のパーティーに新たにシエロが加わったその日の夜、怜央は寝苦しさを覚えていた。
「……なんで?」
ベットで横になっていた怜央がそう呟いたのは、背中にシエロが密着していたからである。
「なんでと言われましても……」
「ここで暮らすって、
「他に行く当てもありませんから。それに私は最初からこのつもりでしたよ?」
怜央製仕切りのお陰で他の皆には聞こえないとわかっていても、2人は小声で話した。
「百歩譲ってそれはいい。ただ問題なのは、なんで下着姿なの? ってこと」
シエロはタオルケットを上に被せているとはいえ、下着しか身につけて居なかったのだ。
ほぼ裸族の姿で密着される怜央は困惑していた。
直に肌が触れ合う妙に生々しい温もりが、男女という違いもあって余計敏感に感じさせられていた。
また、それと同時に仄かに香る石鹸の良い香りが異性としての魅力を強調させている。
「荷物は最低限にして来ましたからね。今日頂いたメイド服(ふく)はお仕事用ですし、
「それはそうかもしれないけど……」
「それにこちらの方が――」
シエロはそこまで言いかけて、怜央の背中に頭を預けるとそっと目を閉じた。
「いえ、やっぱりなんでもないです……」
(え、なに? なんて言おうとしたの!? めっちゃ気になるんだけど!)
怜央は心の声を押し留めて、冷静に誠実な返しをした。
「……明日服買いに行こ」
怜央は二つの意味で、悶々とした夜を送ることになるのだった。
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