第12話雷龍フードル

 扉の前に固まった俺たちをかき分けSSAリーダー神崎が扉の前でこちらを向き声を荒げた。


「では、行くぞー!」


「うぉぉー!」


 神崎の言葉に続けて討伐メンバーが闘志を声に変え叫んだ。

 そして神崎はまた扉へ向き直し、扉に手をかけて力を込めた。すると、扉はゆっくりと開き室内をあらわにした。

 そこには、城の三分の一を占める大きな石畳の部屋で、天井は見えないほど高い部屋の中が、照明もない中、薄暗く照らされていた。


 討伐メンバーは恐る恐る部屋に入り切った時、目も前に大きな落雷が落ち煙が辺りを白く染め上げた。

 討伐メンバーに緊張が走る。討伐メンバーは落雷の中心に気配を感じ、一転を見つめ続ける。その時。


「ぶぅぉぉぉ!」


 狼とは違う、野太く低い叫び声が響き渡った。

 そして霧が少しずつ晴れていきながら、その叫び声の持ち主は姿をあらはした。そこには鍛冶屋のガージが言っていたように、全長二・三メートルはあり、筋肉質な体に鋼の鎧を着た人の体系をしたモンスターがこちらを向いて立っていた。右目には大きな傷跡があり、手にはおおきに大剣を持っている。

 先ほどよりも強い緊張感が討伐メンバーに走る中、神崎だけがすっと剣を抜き構えた。


「皆行くぞ!こいつを討ち私たちの夢に近づくのだ!グループB・Cは陣形を組め」


 そう言って神崎は構えていた剣を高々と掲げた。討伐メンバーは喊声を上げ陣形を組み始めた。そして陣形が組みあがり、グループAだけが扉の近くに集まり精鋭たちの勇士を見守った。


「戦闘開始」


 神崎がそう言って高々と掲げていた剣を振り下ろした。その瞬間から、SSAメンバーを筆頭に討伐メンバーが一斉に攻撃を開始した。


 カキン、キャイン、ドドドド、バシューン


 と攻撃音が響き渡り討伐メンバーが手を休める暇もなく攻撃を続ける。そして、フードルのHPが少しずつ減ってゆき五分の一を切ろうとしたとき、雷をまとった大剣がグループBを切り裂いた。


 ビキビキバキ!


「うわぁぁー」

「おうぅ」


 という声とともにグループBのメンバーは吹き飛ばされHPを半分ほど削られていた。体からは血は出ていないものの大きな傷が防具を切り裂いており、フードルの攻撃力をあらわにしていた。そして休む暇もなく、フードルは飛び上がると、後衛のグループCの前に飛び降り、また大剣を振りかざした。刹那。


 バギィィー!バチバチバチ


 という音を立てて神崎の剣がフードルの大剣と鍔迫り合いをしていた。


「今のうちに距離をとれ!」


 神崎がそういうとすぐさま後衛のグループCが距離をとる。それを見た神崎がフードルの大剣を何とか押し返し討伐メンバーに指示を出した。


「前衛は攻撃をやめて後衛の補助を、後衛は引き都築攻撃を続けろ!」


 神崎がそう強く言うとすぐに陣形を整えてフードルのHPをじわじわと減らし始めた。

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END THE GAME 江上 ゆい @311722

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