第10話幹部戦開始

 幹部戦当日、集合場所であるムーンライドに行くと討伐会議の時よりも人が沢山集まっていた。その中でもSSAメンバーだけは別格と言わんばかりに固まってたたずんでいた。俺達は端の方に四人で固まった。俺は三人の言葉が耳に入って来ない程、緊張と不安でいっぱいだった。それを少しでも紛らわせようとするも、辺りのプレイヤーも俺と同じような顔で半透明なウィンドウを操作していた。アイテムなどの最終確認をしているのだろうか。そう考えていると赤と黒の防具に金の模様が描かれたイケメンが現れた。神崎だ。SSAメンバーは挨拶を済ませると神崎の後ろにヒエラルキーのように並んだ。すると神崎がこちらに叫んだ。


「今日は幹部討伐のため120名のプレイヤーが参加してくれた、参加してくれたプレイヤーには感謝している」


 神崎は手を大きく広げた後に紳士的な挨拶を済ませた。


「では早速本題に入ろうか。会議で決まったグループに分かれてくれ、グループAは大きな斧を持った男の所に、グループBは槍を持った男の所に、グループCはスナイパーライフルを持った女の所に」


 神崎が指示した所にはSSAメンバーが数人ずつ立っていた、参加者へ指示された場所へ向かう。グループAとは幹部城の幹部部屋までの雑魚モンスター処理のグループだ。グループB、Cは幹部戦の前衛と後衛の事だ。俺達四人も参加者の流れに沿ってグループAに集合した。グループB、Cを見るとさすがは幹部戦を戦うだけの精鋭だ。強豪ギルドがいくつも集合していた。それに比べてグループAは特に目立ったプレイヤーはおらず、さすがは雑魚処理と言ったところだ。すると斧を持ったSSAメンバーが口を開いた。


「俺達の任務は幹部部屋までのグループB 、Cの護衛である、だからグループB、 Cのプレイヤーには手を出させるなよ」


 斧持ちのSSAメンバーはそう言って地図を広げて今回の幹部戦の移動ルートと陣形を伝えて出発まで待機するように言った。


「あーぁ、俺達は戦力不足かよ!」


「そうだよねー、私達だって幹部戦参加したいのにさぁ」


 秋人と夏菜は毎回のように愚痴をこぼす。


「まぁまぁ二人共落ち着いて。今回活躍すれば次回の幹部戦でグループB、 Cに入れるかもよ」


 冬華が優しく二人を励ます。それに続いて俺もフォローを入れた。


「そうだぞ今回がダメでも次回があるだろ、それに今回も幹部戦が苦戦したら俺達の出番もあるかもしれないだろう」


 秋人と夏菜は後者の言葉の後に顔を輝かせた。

 そんなこんなしていると。


「では行くぞ!」


 と神崎が剣を抜いて空に掲げた。


「うぉー!」


「よっしゃー!」


 などと参加者が一斉に声を荒げ出発した。

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