頭をシャキっとさせたい人向け紅茶のキメ方

 勤勉な民族は覚醒剤を、呑気な民族はヘロインを使う傾向があるという無駄知識がある。

本当に無駄であるが、これはつまり、勤勉で働きがちな人々はより効率的に働くことができる作用を持つ薬物に、呑気で怠惰な人々はゆっくりと愉しむことが出来る薬物に傾倒する傾向があるという話である。

この記事は別に、違法薬物を推奨する記事ではなく、寧ろそうした人々の傾向を理解した上で、より合理的に、一般的なコンビニやAmazon等で入手可能な、いわば合法的な薬物によって頭を動かし、眠気を覚ますという方針の下、そのやり方を伝授するものである。

繰り返すが、違法なものは一切出てこないし、かつてのハーブのように今後違法化される可能性も非常に低い(これらが禁止されたらもはやディストピアである)ものを使う。


 恐らくこのテキストの読者は茶類と珈琲を一度ならず飲んだことがあるはずだ。

 というより、現代日本で健全に生きてきた人々がこれらを一切摂取せずに生活してきたというのであれば、それは驚嘆に値することであって、非現実的である。

今回のテキストで題材として使用されるのは、茶類のうちでも紅茶についてである。もう理解できたと思うであろうが、合法薬物とは他でもない、この紅茶のことである。

 紅茶や珈琲等に含まれるカフェインは興奮作用があり、副作用としてめまいや不眠を齎す。

例えば、同じように合法で摂取出来る酒類……これは先程の分類で言えばスローな、ヘロイン系のものであり、単純に頭の回転を早くしたり、眠気を覚ます目的で使用する上ではあまり適さない。もし仮に酒を飲むことで仕事が早くなると言うのであれば、全世界で職場にビールサーバーが置いてあるようなある種の人々にとっての天国が招来されるであろうが、現実としてそうではない。酒はリラックス効果と同時に一種の大雑把さを引き出す飲料である。

カフェインの興奮作用とは言うものの、これは実際には覚醒作用と言うもので、効き方と依存性が違うだけで、実際には覚醒剤の作用とある程度同一なものである。

分からないことがあれば論文を探す……というのは人文学に関与する人間にとっての常識であろうが、これはカフェインにも同じことが言える。

飲料におけるカフェイン含有量を示した論文が存在する。URLを掲載するのは憚られるので、ぜひ個人個人で検索して欲しい。

 曰く、カフェイン含有量はエナジードリンクのようなものでない限り


珈琲>>紅茶・玉露>ほうじ茶>その他茶類


ぐらいの順序でカフェイン含有量が変わる。

珈琲のカフェイン含有量は圧倒的だが、基本的に連続して飲むと胃が荒れることを考えれば、紅茶がもっとも順当な選択肢としてあげられる。

無論、珈琲の連飲が可能な人はそれでも良いのだろうが、今回は紅茶の話をさせて欲しい。

また同様に、玉露の効能については検討の余地があるであろうが、それは紅茶も珈琲も合わないという和風至上主義者の方に研究を譲ろうと思う。筆者はナショナリストなわりに欧州被れなので、やはり紅茶を飲むという話をする。


 紅茶には幾つかの効能がある。

まずカフェインそれ自体の作用によって覚醒作用が生じるが、同時にカフェインには脂肪燃焼効果がある。話によると代謝が上がるという話で、無糖のアツい紅茶を飲み続けると空腹感に襲われる可能性が高い。そのため、一般に紅茶とは砂糖を入れるものとされているが、待って欲しい。ただの砂糖では勿体ない……相乗効果を狙えはしないのだろうか?

カフェイン以外に覚醒作用を齎す成分を調べてみると、一般には摂取出来ない薬物に並んで、テオフィリンやテオブロミンが出てくる。

このうちテオフィリンはカフェインと同時に摂取すると、相互作用によって副作用(頭痛、めまい等)が強化される。しかし、テオブロミンにはそのような作用はない。何せ自分で確かめたのだから、個人差はあるだろうが、食べ合わせに問題があるという話も耳にしない(何せテオブロミンにはとある紅茶とよく組み合わされる食品に多量に含有されている)ので、恐らく問題はないであろうと思われる。

テオブロミンが含有されている食物の代表と言えば……それは、チョコレートである。そもそもテオブロミン自体、カカオ種子から初めて分離されたという歴史を持つ。

チョコレートと珈琲と言えば、一般的な職場でも摂取されることがあるであろう組み合わせであるし、チョコレートと紅茶でもそれは同様だろう……何、マドレーヌ? 君はプルーストの読みすぎだ。

とくにカカオそれ自体にテオブロミンが含有されているため、カカオ含有率の高いチョコレートは(決して美味しいものではないが)覚醒作用をより強めるものと考えられる。

面白いのはコカ・コーラで、これはコーラノキそれ自体にテオブロミンがあるため、コカ・コーラはそれ単体で糖分+カフェイン+テオブロミンの相互作用を齎すため、血糖値を気にしないのであれば手っ取り早くコーラを摂取するという方法もあるだろう。


 カフェインは先述のようにめまい、頭痛、不眠等の副作用があるが、テオブロミンにも副作用のようなものがある。テオブロミンは今度、離脱時に”眠くなる”のである。

(これも実際にやった。離脱作用が重い場合、眠気と倦怠感で殆ど動けなくなる)

テオブロミンとカフェインを相互に作用させる場合、一般に健康的とされる量を越えて摂取することになる。カフェインは紅茶であれば7杯以上、テオブロミンについてはカカオ95%チョコレート小サイズを5つ以上。これで作用する。

また紅茶については蒸らし時間を多く取る。ティーバックの場合限度があるが、ティーポットで茶葉から淹れる場合、かなり長く蒸らし時間を取ることが出来る。

高級茶葉でもF&Mなどは長時間の蒸らし時間を取ると苦くなり、飲めたものではなくなってしまうため、カフェイン摂取を目的とした茶葉選びをすると良い。

この目的にもっとも適していると感じたのは、クスミティーのアールグレイであり、これは長時間蒸らし時間をとっても非常に美味である。


 しかし。

 もっとも重要なのは、カフェインを普段から積極的に断つことである。

必要な時にだけカフェイン+テオブロミンを摂取することによって、身体からカフェイン耐性が消え、より強く作用するようになる。

そのため、エナジードリンクを含むカフェインを含有する飲料は、常飲するよりも効果を見越して期間を空けて摂取するのが良いであろう。


追記:

テオブロミン摂取のために推奨しているカカオ95%チョコは、Amazonで安い(=不味くて誰も食わない)ので推奨している。

食えない人は含有率を下げて調整するように。

またカカオ含有率が高いものは糖は控えめだが油分は多いため、日常生活で二郎のスープ完飲とかキメてると膵炎とかになるから気をつけてくれ


追記2:

紅茶及びカカオについて

カフェインは紅茶であれば7杯以上、テオブロミンについてはカカオ95%チョコレート小サイズを5つ以上。これで作用する。

これはいわゆるOD(オーバードーズ)であり、毎回これをやるのを私は推奨しない。日常においてはカフェインを抜き、必要な時に使うのがコツ。とくに休みの日にやる気が沸かない……という時、オフは絶対に活用したいとなればこのへんに頼るべきだろうが、毎日やっていると耐性がついて生半可じゃキマらなくなるし、第一離脱作用が起こる。基本的に精神薬のODなんかと同じようにある程度の副作用がつきものなので、度合いは自己責任で図ってくれ。先の7杯+5つはまず間違いなく一般人ならばキマる分量として示している。

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