【日常系】
ペットショップの話
最近、ペットを飼う人が増えているらしい。
かつてペットの鉄板と言えば(これは焼くことを指すのではなく、定番という意味で書いている)犬で、私が幼い時分にはダックスフンドが、私が小学生として社会の苦しさというのを十全に感じさせられていた頃にはロングコートチワワが流行った。どうする、アイフ○で有名なアレである。
実は我が家にもかつてはロングコートチワワ(享年2017年)が居て、歳を食えば食うほど我が家の人間にそっくりになっていく犬を見て
「ペットは飼い主に似るって本当だったんだなぁ……」
と感心した覚えがある。我が家の人間に似ていないところと言えば、そのハンサムでキュートな相貌であったわけだが、これは親ばかのニュアンスがあるだろうなと思う。
そのチワワの「チビ」(笑えることに、こんな名前なのに体格は標準のチワワの約2.5倍であった)が亡くなられた後に家族で韓国に旅行に行ったのだが、まだそのチワワの死を引きずっていたらしい母が
「○○って街にはね、犬がいっぱいいるのよ!」
と言うので、私は我慢し切れず
「それって、食べる用? 見る用?」
と聞いてしまい、母は真顔で
「見る用に決まってるだろバカ!」
と言ってきた。確認は大事である。
さて、ペットの話。
最近はペットで飼うのは猫が人気らしい。話によれば、猫はしっかり猫砂にフンをするのでしつけの手間がないという理由らしい。
ついでに言えばTwitter映えもする。世間では猫の画像を定期的にアップしてはふぁぼを稼いでニンマリ微笑む類の人種が居るらしい。ちなみに私は三島由紀夫だけを飾ってある本棚の写真でふぁぼを稼いでは下卑た笑みを浮かべているが、猫と三島由紀夫なら三島由紀夫が高尚であろうよ、とここで強く、強く宣言したい。
まぁ猫がTwitter映えして、何やら猫を吸うとかよく分からん娯楽も存在するらしいのだが、独身者がそういうペットを飼い始めると、そのお世話で人生に満足してしまうような気がしていて、私にはどうも抵抗がある。家族で飼うには、命の勉強にもなっていいと思うのだが、独身者の犬猫そしてドール趣味というのは、人生をそのままクローズする一種の前準備のように思えてならないのである。
(ここでドール趣味を出したが、本当にあれはまずい。あれが家にあったら、そりゃドールに金を使いたくもなる。理解出来るが故に怖いものもある)
ところで私は、ある時を境に……というか、一人で外を歩く頻度が多くなってきてから、ペットショップに遊びに行くことがなくなった。というよりは、意図的にそれを避けている。
犬は可愛い。
猫も可愛い。
何ならハムスターもモルモットもチンチラも可愛い。
しかし、その”可愛い”には値段がつけられている。
やれ幼犬幼猫二十万円だの三十万円だのと言うような値札を見ると頭がクラクラしてくる。私は車好きだが、そんだけ金があれば中古のワゴンRが買えてしまうではないか。いやワゴンRじゃなくてもアルトでもいいが、とにかく中古の軽自動車なら十万ちょっとあれば購入出来る。
それに引き換え犬猫とくれば三十万円とか、目玉が飛び出そうになる値段な割に世話をするのはこちらであるし、馬のように(いや、まぁ現代で馬に乗って歩く奴が居るとは思わないが)それに乗れるわけでもないし、ペットショップに行けばその可愛いこんまりとしたもふもふがじゃれ合っているのである。
素直に言おう。
「目の毒である」
彼等(彼等という語彙が正しいかはさておき)は本当に可愛らしく、しかし手に入れようと思えばローンで買わねばならん。
しかし買わなければいつか彼等はひどい目にあう……つまり殺処分とか、そういう処置に至るのではないかと思ってしまうと、とにかく辛い。辛くてしょうがない。そういう想像をするのは本当に難儀だと思うが、実際に難儀な性格をしているのだから仕方ないではないか!
でも、その”可愛い”はローンで買うものなのだ。
ローンだぞ、ローン。
私がこの話をある人物にしたところ
「確かにペットは高いよねぇ」
「だろう。あれならワゴンRでも買った方がいい!」
「……比較対象おかしくない? ペットには命があるんだよ」
「何を言う。車にだって命は籠もっている。しっかり油を差してメンテナンスしてやらなきゃ壊れる。一緒に何処までも行くことが出来る。いやそう考えれば軽自動車こそペットに適しているのではないか?」
「お前今日サインバルタ飲み忘れてたりする?」
「飲んどるわボケ」
この会話の後、カーセンサーで軽自動車を見たら、これらが可愛いもののように思えてきた。いや実際軽自動車可愛くないかな? ソニカとか、ミラジーノとか、ヴィヴィオとか、可愛くない? 私にとっては可愛いんだよ。分かるか。
さて、私の家の近くにあるペットショップは、私が今の地域に越してきてからずっと存在している店だが、犬の毛のカットは下手くそで、二階ではよく分からん生き物を飼っている。
実験用かな? と思えるような白いマウスはまだ理解出来るが、理解できないのはそこらへんに居るようなカワラバト(いわゆるハト)が大量に飼われていたり、あの人の汚れたものを食べるらしいドクターフィッシュなんかが飼われている。あれなんなんだマジで。趣味か? 店長の。
その店のすぐ近くには焼肉屋や、鴨肉の専門店などが存在していたりするが、ここに黒い繋がりが存在すると一瞬でも思ったあなたはこの文章に毒されている。だってペットショップで飼われていた生き物さばいたって美味しいわけないじゃないですか!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます