カルテNo.7 どの世界にも宗教や習慣があるもの
教会っていう組織は前にクマ吉からの話を聞いたけど武装兵団のパラスメントだけじゃなくてキャビンの言う第12師団っていう明らかに危なっかしい部隊まで持ってるとはね……
それだったらクマ吉の言う政府と同等の権力を持てるのも頷けるし、クマ吉があんまり良い顔しないのも納得するわ。
でも、それにしても私も色んな意味で厄介な拾い物をしてしまったわ。
私は立場で言うとクマ吉という政府側の人間で、この酔っ払いは教会という政府とは力が均衡している人間。コレは目覚めてもらったら早々に帰ってもらった方が良いわね。
「ただいま〜……」
「あら、リクト君が帰ってきたわ。」
「カラカラ、その様ですわね。」
すると玄関のドアが開く音が聞こえてきて私はリクト君をお迎えに向かう。
「おかえりなさい。リクト君。」
「あぁ、ただいまって誰かお客でも来てるの?」
「え?うん。ちょっと道端で酔い潰れてる人を介抱したらね。」
「ふーん。」
「リクト君お腹空いてない?取り敢えず、帰り道にお茶菓子買ってきたからお茶にしようか?」
「ありがとう。日野先生。取り敢えず制服着替えてくるね。」
「うん、用意しておくね。」
リクト君は玄関に見知らぬ靴に気が付いて不思議そうな顔をしながらも靴を脱いでから自分の部屋に向かい制服を着替えている間に私はアイスティーとお茶菓子を用意する。
そして、ちょうど良いタイミングで制服から着替えたリクト君はリビングにやってきてソファーに目を向けると、酔い潰れの女性を観て何か思い当たりそうな顔をする。
「日野先生が拾ったっていう酔い潰れってこの人。」
「そうなのよ。もう大変だったんだから……街でまだお昼なのにお酒飲んで道端で倒れてるし、起こそうものなら叫ぶし、家に送ってくれって言うから送ろうとしてもこのざまで寝ちゃうし。」
「た、大変だったんだな……」
リクト君は苦笑いしながら私の愚痴を聞いてくれるのである。
「それにしても、この酔い潰れの人ってパラスメントの人だよね?」
「カラカラ、さすがリクト様。正解であります。」
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