カルテNo.7 どの世界にも宗教や習慣があるもの

「はい、第6〜第10師団は非戦闘員の方達で各地で教会を構えて孤児院、讃美歌合唱、冠婚葬祭、教育という仕事を行う方達です。世間でいうとチャペルと呼ばれています。」


「じゃあ、残りの第11師団って言うのは?」


「カラカラ、第11師団の方達は死霊に取り憑かれた人間を振り祓らったり、占いといった吉兆の暗示をするものとして普段は教会の雑務を手伝いながらチャペルに配属されている方達で世間ではエクソシストと言います。」


「そういう事ね。ん?でもちょっと待って、この人は確か第12って言ってたけど……」


「そう、桃香様が言いたいのに、この方は第12師団って言おうとしてたのだと思います。教会は第1から第11師団までしかいない。それは隠れた闇の教会という【裏切り者ユダ】の名前を司る非公式の部隊【第12師団】があるのです。」


「裏切り者ユダ?それってどう言う事?」


「はい、どの世界にも秩序や文化というのは少なくても宗教が絡んでいます。教会もその宗教から来ております。その中で主には12人の弟子がおり、その中の裏切り者の1人がユダと呼ばれた人物。」


「……」


「教会の師団は主の弟子達の人数から来ておりまして、裏切り者は公式の師団としては数えられておりませんが、主の弟子としては事実。」


「つまりキャビンの言う第12師団って言うのは本来存在してはならない部隊ってことよね。」


「はい、そういう事です。非公式の部隊の為、活動や詳細は不明でございまして、あくまでも噂としての話になりますが……」


「噂?」


「教会の汚れ仕事を一任された師団や他の師団と馴染めず教会に所属している曲者揃いの師団、人間を陥れた魔人を絶滅させる暗殺師団。裏切り者の始末する師団、闇の正義による師団とてもじゃありませんが良い噂はありません。」


「なるほどね。確かにそれは教会としては表沙汰にしたくはないはずだわ。」


確かに、この酔っ払いが教会に所属しているくせに何か酒癖の悪い破天荒な感じがするから変だなって思ったけど納得だわ。

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