カルテNo.7 どの世界にも宗教や習慣があるもの

私はリクト君の後ろを着いていく形で図書館へと向かうけど、何故か廊下を歩く他の学生さんからは注目の的になってしまうから少し気恥ずかしい。


「日野先生、あんまり気にする事ないから。」


「う、うん。ありがとう……」


リクト君は私の表情を察して声を掛けてくれる。なんだか今のリクト君は私をエスコートしてくれる紳士みたい。


私の目に狂いが無かったらリクト君は私と同じぐらいの年齢になったら、きっと渋みのあるジェントルマンになりそう……


髭なんか生やしても良いわね。良い感じの哀愁が漂ってそれが男の人の色気になりそう。グヘヘ……


「着いたよ。」


「いっ!痛ッ!」


「何してんの?」


「ご、ごめん……」


私がリクト君に対して鼻血が吹き出そうなくらいに邪な考えをしていたら、いつの間にか図書館に着いて急にリクト君が止まって尻もちを着いてしまう私。


めちゃあ恥ずかしい……


「ほら日野先生。ほらよっと!」


「え?ちょっと!わ、私、重いよ?!」


リクト君は尻もちを着いた私にまるで小さい子供を抱きかかえるかのように立ち上がらせる。


「そんな事ないぞ。身体鍛えてるから軽いぐらいだよ。」


「なんか、少し恥ずかしいわ……」


「何言ってんだよ?覚えてない?旧病棟で魔力切れになって俺が日野先生をお姫様抱っこしたの忘れた?」


「なっ!あぁ……それは……うぅっ。」


そういえば、そうだった……

マヤローモ総合病院の旧病棟で激しい戦闘で魔力が切れてフラフラで立てない私に対してリクト君はお姫様抱っこしたんだった。


「もう!バカバカッ!恥ずかしい事、思い出しちゃったじゃない!」


「ごめんごめん。怒っちゃった?」


恥ずかし過ぎて顔が熱くなってしまい、ついリクト君にポカポカと叩いてしまう私に対して、少し悪戯っぽく笑いながら謝るリクト君。


リクト君って笑うとこんなに子供みたいに無邪気に笑うんだね。


やっぱりリクト君は無理して自分自身の感情を抑え込んで大人ぶってクールな素振りをしていたんだ。


「な、なんだよ?」

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