カルテNo.6 人生って1回きりだから悔いなく今を生きよう
リクト君は褒めすぎだよって言わんばかりに少し恥ずかしそうに笑みを浮かべて私に近付いてこう言う。
「日野先生。人に得意、不得意がある。俺はこういうのが得意だけど俺は日野先生のサドマーゾのようなパワフルな戦いは得意じゃないんだ。だから自信持ってよ日野先生。」
「う、うん……」
一回りも離れた男の子にそう言われて少し情けないけど、リクト君の言う通り。
人には得意、不得意がある。私は先程、水分身とはいえシャーカと戦ってサドマーゾとの相性が悪くて怖くて落ち込んでいた。
だけどリクト君のその言葉で気付かせてくれた。私には私の得意な事をやって、リクト君にはリクト君の得意な事をやってお互いの弱点を補える事が出来るだけって。
「リクト君。ありがとう。」
「え?あぁ。どういたしまして。」
「リリーナちゃん探しに行こうか?」
「そうだな。無事だと良いんだけどな。」
私とリクト君はリリーナちゃんの無事を祈りながらリリーナちゃんのいる個室へと向かう。
一方その頃、リリーナちゃんはさっきの爆発で何が起きたか分からず身体を震わせながら恐怖に怯えながら自力で車椅子に乗り病室から出ている。
「いったい何が起きてるの…?」
リリーナちゃんはぼやきながら自力で車椅子を押している。身体の弱い彼女には自分で車椅子になりながら手で漕ぐように動かすのは一苦労だ。
「他の人は誰も居ないし、変に静かだし。」
そう今、居る病棟は辺りを見回すと誰も居らずリリーナちゃん1人。何が起きているか分からず、ただ広過ぎる病棟を彷徨う形になる。
カツン……カツン……
「え?だ、誰?」
カツン……カツン……カツン……
この病棟にはリリーナちゃん1人しか居ないはずなのに病棟から静かに足音が鳴り響いて確実にリリーナちゃんに近づいてるのが分かる。
「誰?!誰なの?!」
彼女は迫り来る恐怖から思わず声を荒げてしまうが、それを無視するように足音が鳴り響く。
カツン……カツン……
そこで足音は鳴り止み、リリーナちゃんの鼓動が嫌な動悸へと変わり彼女自身の近く何か居るのを感じとった。
リリーナちゃんは意を決してゆっくり後ろを振り向くけど誰も居ない。
「はぁ……私の気のせいか。」
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