カルテNo.6 人生って1回きりだから悔いなく今を生きよう

「良いか?このマヤローモの法律では全ての建造物には魔人族報知器(まじんぞく ほうちき)の義務が法律であるんだよ。」


「う、うん。」


「言ってしまうと、ある程度、個人差はあるけど俺達人間の魔力と魔人族の魔力は放出する成分が違うんだ。」


「それって、どう言う事?」


「つまりだ。常に俺達や魔人って言うのは生きる上では呼吸もするし動けば汗もかくし体温もある。その中で微量ながら魔力を放出しているんだ。それで魔人族報知器は魔人族の体温や吐き出される息、汗で蒸発した魔力を感知して発動されるんだよ。」


「そ、そうなんだ。私おバカだったから全然分からなかったわ……」


「はぁ……全く大人って頭良いのかと思ってだけど結構バカなんだな。」


リクト君はやれやれって言う感じで腕を組みながら呆れた顔をしている。


ごめんね。本当は正直に異世界から来た売れ残り三十路処女なんだけど、今は大人しくおバカなフリをしているしかないわ。


「って事はリクト君。魔人族報知器のアラームが鳴らなかったのにミラージュ・ファミリーが現れたのはどう言う事?」


「俺として考えられるのは今回のミラージュ・ファミリーの襲撃は単独犯ではなく複数人。ミラージュ・ファミリーの誰かが病院内の報知器を作動しないようにしているって俺は考えるな。」


「でも、それだけだとアイツらの動機が分からないわ。」


「それが分かれば動きやすいんだけどな……」


「でもリクト君さ。」


「なんだ?」


「あのロブスンって言うミラージュ・ファミリーはわざわざ人質って言っていたよね?」


「あぁ、確かに人質って言ってたな。」


「それも変じゃない?普通だったら何振り構わず暴れちゃうのにわざわざ人質っていうのがさ。」


「言われてみるとそうだよな。人質を取るって事は何か目的のための取り引きの材料にするよな。」


「お金かしら?」


「それなら銀行を襲うだろう。」


「そうだよね……何かの薬とか?」


「そんなもんで、わざわざ人質を取るほどの薬なら夜中に忍び込んで盗むと思うぞ。」

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