カルテNo.6 人生って1回きりだから悔いなく今を生きよう

そう考えるとリリーナちゃんが何かしらの不安を抱えていたのって自分に何かしらの危害が及ぶ可能性があるって言うことになるよね?


「あっ、そろそろ。俺は仕事に行かなくちゃだから、日野先生はゆっくり休んでな。じゃあな。」


「あっ、うん。お疲れ。」


リクト君はそう言って踵を返して私に背を向けたまんま歩き出して手をヒラヒラしながら、その場から去っていくと私は自分のロッカーにある着替えを取りに行く。


さっきのリクト君の話というか、噂というか。どうも何かキナ臭い感じがするのは私の考え過ぎじゃないかしら?私の考え過ぎや思い違いなら良いんだけど。


私は何かスッキリとしない感じで悶々と考え事をしながら自分のロッカールームに辿り着いてから着替えを持ち出してからリリーナちゃんの病室へと足を運ぶ。


リリーナちゃんの病室に着いてドアが開いているので病室に入ろうとした時にリリーナちゃんはベッドに座り、そこに向かい合わせる様に座る1人の男性の姿が見える。


私は誰だろう?っと思い立ち尽くしていると私の存在に気付いたリリーナちゃんが私に向かって手を振り、それに気付いた男性が振り返ると立ち上がり、私に近づいてくる。


「貴女が日野桃香先生ですか?」


「えぇ!は、はい!」


私は思わず少しテンパった声で返事すると、その男性はニコリと微笑みながら自己紹介をする。


「私はリリーナの父でヤウェイ・ダヌシカです。娘から話は聞いております。」


「あっ!はい。日野桃香です。こちらは宜しくお願いします。」


その男性は物腰が柔らかい紳士というか私も思わずハッとしてしまいペコリと頭を下げて自己紹介する。


「では、私はここで失礼しよう。また時間が出来たら逢いにくるよリリーナ。」


「うん。パパ。お仕事頑張ってね。」


リリーナちゃんはそう言いながら手を振ったのを確認した後にリリーナちゃんのお父さんであるヤウェイさんはリリーナちゃんの病室から出て行く。


リリーナちゃんはお父さんの背中を見ながら少し寂しそうな顔をして見送るのを私はやっぱり寂しいのかな?って思ってしまう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る