カルテNo.5 夜の病院って怖いかエロスなイメージだよね

「でも、さっきのが君の奥の手に見えたけど?」


ボナルドはさくっと何事も立ち上がりながら軽やかなトークでリクト君に向かってきて、ある程度の間合いから立ち止まる。


「はぁ、コレが奥の手なんて考えるやつは何とも頭がおめでたい奴だな。」


「うーん。それはどう言う事かな?」


「奥の手は、ここぞって時に使うのが奥の手なんだよ。キョリ・ツメ。」


「え?!」


「フィンガー・バレッタ寸勁(すんけい)。」


するとリクト君はキョリ・ツメでボナルドと一定の距離から、ほぼ間合いの無い状態でフィンガー・バレッタ寸勁(すんけい)をボナルドの鳩尾に即座に打ち込むとボナルドは吹き飛ばされて仰向けに倒れ込む。


「あはは。凄いね!でも僕はピンピン……ごほっ!!」


「……」


「アレレ?可笑しいな……大したダメージじゃ無いんだけど……」 


確かにリクト君の放った技は確かに強力に見えた。しかしボナルドの身体は収縮性に富んでおり普通の打撃では、ほぼ意味のないものになってしまう。


だけど、ボナルドは口から血を吐き出して身体はフラフラのせいか足は覚束ない状態。


「ちょっとした賭けだったんだが、俺の読みは当たったみたいだ。」


「ゴホッ……どう言う事?」


「確かにアンタのその身体じゃ俺の普通の攻撃は効かない。だけど、【普通】の攻撃じゃない方法で俺はアンタを攻撃した。」


「っ?!まさか……」


「そのまさかだよ。」


ボナルドは自分が受けたのは今ままで受けた攻撃とは違う普通じゃない攻撃を察した様子でリクト君は続けて話す。


「そう、内部衝撃。簡単に言えば内臓破壊だよ。」


「はぁ……やられたよ。」


「ふん。まさか、その手を使わせるとはアンタはやり辛かったよ。」


「あはは。君は厳しいけど……最後の最後で本当に楽しかった……最後に……本当に笑えた気がする……」


ボナルドはふらついていた身体を倒れ込んで最後まで笑顔で言葉を振り絞り絶命する。


「アンタの今の顔は本当に良い笑顔だよ。」


リクト君はそうポツリと言うのであった。

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