カルテNo.5 夜の病院って怖いかエロスなイメージだよね

「着地するぞ!」


「きゃあ!」


「カラカラカラカラ。」


リクト君は見事に地面に足を着くとするとドシンと地響きの様な大きな音を出して着地してから私とキャビンはリクト君からの腕から離れて、あたり一帯を見回す。


「ここって地下?」


「みたいだな。」


「カラカラ。何処かの研究室の通路か何かの様ですね。」


メルザードという旧病棟に憑依された死霊魔導師によって私達は地下水路の様に広い通路の中に落とされてしまった様子。ここからどうやって抜け出せば良いのよ?


「それにしても旧病棟内で地下室があったなんてね。何かを研究していたのかしらね?」


「いや俺は聞いた事ないぞ?」


「そうなの?」


「あぁ、今までワタル先生からはこういう話は聞いた事がない。」


「って事は……」


「カラカラ、つまり私達は未知の領域に足を踏み出してしまったという訳ですね。」


「それにしても何かしっかりとした作りって言うか頑丈そうね。」


「取り敢えずはここから抜け出すしかないだろ。」


「カラカラ、リクト様。出口はありますのでしょうか?」


「……」


リクト君はキャビンの質問にソッポを向いて何も答えず黙ったままだ。こりゃ当ても無さそうな予感しかしないわね。仕方ないこういう時こそ年上の私がどうにかするしかないか。


私は口に指を加えてから何処か風があるかどうか調べてみる。僅かにだけど何処かの通り道なんだろうか風があるのが分かる。


「こっちに行ってみよう。」


「なんで分かるんだ?」


「勘よ。」


「全く勘かよ。」


「ここでジィーっとしているより行動した方が良いと思うわ。」


「はいはい、年上の日野先生の言う通りにするよ。」


まずは何も行動しないよりかは動いた方がこの地下から抜け出せる事は確かだと考えて地下の一方通行を私を先頭にキャビン、リクト君と続けて歩き出していく。


地下の一方通行は薄暗くオレンジ色の蛍光灯が連なっているだけの場所。まさか旧病棟内にこんな地下が作られて居たなんてね。避難経路か何かかしら?でも、もし避難経路ならもっと分かり易い非常口のシグナルとかあるとは思うんだけどな……


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