カルテNo.4 仕事ばっかりの日々では疲れてしまう

何故だろう。私はどうして、こんな風にリクト君に話し掛けているのか分からない。でも今リクト君に話し掛けないと後悔する様な気がしてしまう。


「まだ若いのに、こんな悲しみを1人で背負って、たった1人で孤独に戦ってたのね。リクト君くらいの年齢なら本当はバカやって毎日が楽しくて、笑っているのにね……」


自分でも、どうしてか分からない。勝手に涙がまた溢れ出てくる。彼が可哀想だから?違う。私はすぐにでもリクト君が目を開けて起き上がって『ありがとう』って言いたいんだ。


「ごめんね。こんな年上のお姉さんが言うのもアレだけど……」


声が掠れて、上手く声に出来ない。だけどコレだけは言える……


「リクト君……起きて……お願いだから、起きてよ……うぅっ……死んじゃやだよ……」


「勝手に殺すなよ……」


「え?」


すると私は何かの幻聴だと思ってベッドで寝ているはずのリクト君を見るとリクト君は目を開いて無理矢理、起き上がろうとする。


「ま、まだ寝てなくちゃダメ!」


「はぁ……」


リクト君がそう言うと不貞腐れて不機嫌な顔をしながら起き上がろうとした身体をまたベッドの上で寝始める。


「で?」


「え?」


「俺の正体、分かったんだろ?」


「うん……」


私のバカ。会話が終わっちゃったじゃない。私とリクト君で無言の沈黙が続いて何だか気まずい雰囲気が漂ってくる。でも私から会話を切り出さなくちゃ。


「あのね。」


「ん?」


「ありがとう。」


「……」


「私を守ってくれて。」


「別に。別にアレだよ。」


「?」


「男が女を守るのは当然の事だろ。」


「そっか、リクト君はカッコいいね。偉い偉い。」


「う、うるせぇ!」


私はリクト君を歳の離れた弟のように頭を撫でるとリクト君は顔を真っ赤にさせて、恥ずかしがっているのかソッポ向いてしまう。うーん。まだ恥ずかしい年頃なのかな?


その後に改めてワタル先生を呼んでから軽く診察を受けてからリクト君は数日で退院出来ると分かった。リクト君の退院祝いに何処か連れて行ってあげようかな?


そう思う私である。


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