カルテNo.4 仕事ばっかりの日々では疲れてしまう
そして、オペ室からオペの服装をした看護師さんが寝台ベッドをカラカラと動かしながらライオンの青年の素顔を見た瞬間に私は驚きを隠さなかった。
「どうして……?」
「そう彼は先の大戦で制空のヴァルキリー(戦乙女)の弟です。」
「リクト……君……?」
そう。スカル・レイから私を身を挺して庇ってくれたライオンの青年はリクト君で、今までも何回も彼は私がミラージュ・ファミリーとの戦闘で会っていたにも関わらず私は全然気が付かなかった。
「え?なんで?」
急な出来事で頭が混乱して言葉を出そうにも喉に何かぎ引っ掛かる様に言葉が出てこない。そして涙が溢れ落ちてくる。どうしてか自分でも分からない。
「日野先生。取り敢えずコレを。」
「あ、ありがとうございます。」
私はワタル先生からハンカチを借りて涙を拭く。でも湧水の様に涙は止まってくれない。どうして?どうしてリクト君を思うと胸が締め付けられるんだろう……
私は暫く涙を流したまんまハンカチで涙を拭いていると次第に落ち着いてきたのか涙は止まってくれた。多分、目が真っ赤に腫れていると思うけど。
「彼、リクト君が僕に正体を明かしてくれたのは、僕がお姉さんを知っていた事、また偶然なんだけど、リクト君自身が働く時に僕自身をお姉さんから聞いていたから話してくれたんだ。」
「それでリクト君は正体を明かしてくれたんですね。」
「そう言う事になるね。出来ればこんな危ない事はさせたくなかったんだけどね。」
「……」
それから私はリクト君が眠る病室へ向かうとベッドで色々と機械で繋がれては居るけど、今の所は特に苦しそうじゃないから、ただ眠っているだけ。私は寝ているリクト君の手を握る。
「リクト君。ありがとうね。」
私は小さな声で静かに眠っているリクト君に話し掛けるけど、もちろんリクト君からの返事はない。だけど確信はないけど話し掛ければ、すぐにでもリクト君が目を開けてくれる気がする。
「いつも無愛想でぶっきらぼうな態度を取っちゃうんだけど、本当は貴方は優しい人なんだよね。」
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