カルテNo.4 仕事ばっかりの日々では疲れてしまう

「桃香様。こちらがワスア魔法学校でございます。」


「ここが、ワスア魔法学校?」


私が最初に見たワスア魔法学校の感想は学校って言うより西洋のお城みたいな建造物。広々とした校庭には学生達が魔法を駆使して実戦さながらの詠唱呪文を唱えて無のモノから有を生み出し戦っているのが見える。


建物の特徴と言えば高く積み重なれた石段の上に白いレンガの造りに屋根には三角帽子のようにいくつものまさしく造形の芸術かと思わせる雰囲気で、まさしく伝統ある学校って言うのを思わせる。


「桃香様。行きましょうか。」


「え、えぇ。そうね。」


私はついつい校舎に見惚れてしまい足を止めてしまい、キャビンに言われるがままに足を進めて校舎の中へと入っていく。こうして見ると綺麗だし圧巻だわ。まるで観光にでも来ている気分だわ。


「取り敢えず清掃員の方に渡しておきましょうか。」


「そうね。あの〜すいません。」


私は取り敢えず清掃員のオバチャンに話し掛けてリクト君の学生証を渡す事にする。


「はいはい。あら、見掛けない綺麗なお嬢さんですね。」


「あの実は街中で学生証の落とし物をしまして、ご確認したところ、この学校の生徒さんのモノでして。」


「まぁまぁ、ご丁寧にありがとうございます。少し確認させて頂きますね。」


私は清掃員のオバチャンにリクト君の学生証を渡して確認させてもらう。清掃員のオバチャンは学生証を開いてリクト君の顔と制服を確認してから少し神妙な面持ちで話し出す。


「この子なんだけどね。」


「はい。リクト君の事ですか?」


「あぁ、知ってらっしゃるのね。実は……」


「実は?」


「あんまり学校には来ていないのですよ……」


「え?そ、それって?」


清掃員のオバチャンが言うからにはリクト君はあんまり学校には来ていないとの事。つまり不登校って事になるよね?確かに言われてみると昼間から病院でアルバイトしているのも納得。


「この子は確かに家柄も良く学校でも成績も最上位の成績なんだけど……」


「なんだけど?」


「この子の家はもう誰も家族が居ないんですよ。」

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