カルテNo.3 どの世界でも生きるには働かなくちゃ
「……」
「それよりどうして、ここで働いてるの?」
「別に。」
「そんな冷たい事、言わなくても良いじゃない。」
「はぁ。将来、医者になりたいからだよ。」
「お医者さんかぁ。良いじゃない。でも、今日って平日だけど学校とかは?もしかしてサボり?ニシシ。」
「別に。学校なんて行く意味あるの?」
「だって、学校行かないと医大とか行けないじゃないの?」
「そうだけどさ。俺は行っても行かなくても、どっちでも良い存在なんだよ。和気あいあいとクダラナイ友情ごっこをよりも医大に行く学費が必要なんでな。」
「そ、それもそうだけど。何もリクト君1人で学費を稼がなくても……」
「生憎、俺には身内が居ないんでな。」
「え?」
「そういうことだ。」
「……」
その後もなんだか気まずいまんまで自動販売機に到着して私はコインを入れてから無糖の缶コーヒーのボタンを押して購入。
「どれ飲む?ついでにお姉さんが買ってあげる。」
「別に良いよ。それくらいは買えるし。」
「もう。人の好意は素直に受けるのよ。無下にすると逆に失礼よ?」
「じゃあ、紅茶のストレートで。」
「これね。」
私はペットボトルのストレートティーのボタンを押して購入してからリクト君にストレートティーを渡す。
「はい、どうぞ。」
「あ、ありがとう。」
「ねぇ、リクト君。」
「ん?」
「リクト君は今は身内が居なくて、学校でも友達って呼べる人が少ないかもしれない。だから、もし何かあった時にお姉さんの私が相談に乗る。分かった?」
「お姉さんって言うよりオバs……」
「……」
「悪い。何でもない。はぁ、取り敢えず、ありがとう。」
リクト君はそう言って自動販売機から立ち去って行く。なんだか人は誰しも家庭環境は身内が居て当たり前じゃないんだなって思い知らされた。
お父さんが居て、お母さんが居て、兄弟または姉妹が居て。それって当たり前じゃなかったのよね。私もお母さんだけだったし。
私には親がお母さんだけだったけど友達や周りには恵まれたけど、リクト君は違う。何か孤独というか1人で抱え込んでいる何かがある。
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