カルテNo.3 どの世界でも生きるには働かなくちゃ
って言う感じ。レントゲン撮影で異常がなくて痛みが続くとしたら原因はほぼ筋肉や腱が原因と言える。
そうこう考えているウチに診療時間になったので、ボタンを押しながらマイクで患者さんの名前を呼ぶ。
「ミリア・ナタルさん、ミリア・ナタルさん。診察室へどうぞ。」
私はミリア・ナタルさんを呼ぶと静かに診察室の扉が開かれると綺麗な顔立ちにスラッとした長身のモデル体型の女性が診察室へ入ってくる。恐らくミリア・ナタルさんだろう。ってか、ウエスト細い!
私よりもウエスト細いとか羨ましいなおい。とても産後の女性とは思えないスタイルだな。
「初めまして。今日からミリア・ナタルさんの担当になる日野桃香です。宜しくお願いします。」
「ミリア・ナタルです。宜しくお願いします。」
まずは挨拶するけど透き通った声とかこの人、反則的にモテるだろうなチキショウ。私は静かに嫉妬を覚えながらボールペンをヘシ折りそうになる。
「ミリアさんに聞きたいんですけど、今は右手の症状なんですけど、他に気になる所ってありますか?」
「はい。子供を産んでから抱っこする事が多くなって、肩とか首、あと腰も痛い時が出てきました。酷い時は頭痛もあります。」
私はカルテに腰と肩と首に痛みがあって酷い時も頭痛があるとボールペンに書く。恐らくだけど原因とするなら腰の筋肉になると思うわ。
手の痛みと腰の痛みって関係ないように思えるけど、人は重い物を持ち上げる時には必ず全身の筋肉を使うから、腕の筋肉に胸の筋肉を使い、それを落とさないように腰や肩、首の筋肉で踏ん張る。
腰で踏ん張るから背中や首の筋肉が緊張してきて、首から腕、指先へと負担が掛かるようになって、ミリア・ナタルさんは右の親指に痛みが出てきていると思うわ。
「では、ミリアさん。親指を中に入れ込んで握って手首をこうやるとどうですか?」
「親指を中に入れ込んだだけで痛いです……」
「あっ、本当ですか。分かりました。」
私はフィンケルシュタインテスト陽性とボールペンでカルテに書く。
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