カルテNo.2 三十路女。接骨院を開くまでの道のり。

「あらら。まさかのクイーンさんと死神の旦那本人とはな。アタシ達をそんな風に呼ぶのはさ。」


「で、でも何故にクイーン様がここに?貴女様はまだ脱獄もされて居ないのに……」


「うんうん。とっても不思議な事だにゃ。」


「ビックリ仰天。ってか、超ウケる。」


驚き、不思議そうな4人とは違い1人だけ、アーミャだけはクイーンが今この場にいる何かしらのカラクリに気付いている様子だった。


「分離……ですかのぉ?ボス。」


「さすがに察しが良いわねナージャ。私はルーナ(月)とノッテ(夜)とステラ(星)の3つに分離したのさ。そして今の私はノッテなのさ」


「なるほどにゃん。クーちゃんのルーナは格闘スタイル。ステラは精霊術。そして今のノッテは最低限使えるイルブリオ・マーゴ(闇の魔法)だね。」


「それならアウシュベル収容所に居ても超不思議じゃないね〜」


「その通りだよスレイヤー。シャーカ。イルブリオ・マーゴがあれば魔法を直接、自分の身体に取り込められるのだからね。」


クイーンはキセルを取り出して口にくわえて紫煙を上げて地下道の壁に寄り掛かりながら説明を続ける。


「まぁ、アウシュベル収容所の私はルーナの私。そしてノッテの私は秘密の隠れ家に封印してあるわ。」


「それではワシらで近い内にその封印を解きに?」


「いえ、今は良いわナージャ。今は下手に動くのは得策では無いわよ。それに、先の戦争でミラージュの大半は空中分解の状態。散り散りになっている同胞を探し、また新しい仲間が必要だと私は思うのよ。」


「ですがクイーン様。戦闘員に関しては探すつもりですが先の戦争で同胞の魔族達はより強固に隔離されてしまっています。」


「そうだろうね。チャンプの言う通りだけど、何も魔族から新しくミラージュに誘わなくても良いと思わない?」


「ですが何か他に方法があるのですか?」


するとデス・レイは涼しい顔をしながら淡々と抑揚のない声で静かに呟くのである。


「それなら魔人達を新しくスカウトしよう。」


「魔人族をか?」


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