カルテNo.2 三十路女。接骨院を開くまでの道のり。

「つまりですね桃香様。貴女様は伝説の魔法使いになります。カッコイイと思いますよ?カラカラカラカラ。」


うん。キャビンの言う通り。私は伝説の魔法使いだよ。30歳まで処女を貫いた伝説の処女だけどねっ!!


「最後にだ。桃香っち。何故、戦犯を処刑しなかったって言うとだ。彼女達のカリスマ性が戦争が終わっても絶大だからだよ。今は残党狩りをしているが数が多くてね。彼女達を収容所から一歩でも出せば彼女らを慕う部下が騒動を起こしてでも解放をするって考えたからさ。」


更にクマ吉は顔はかなりおちょくってるが口調はシリアスそのもので続ける。


「奴等はそのカリスマ性を活かし狂信的にまで魔人達を操り兵団を築き上げたのがミラージュ・ファミリーさ。それにクイーンは収容所の中とはいえ他の4人が脱獄した今の状況じゃあ、いつ再び戦争が起こるかもしれない緊張状態さ。」


「なるほどね。まぁ、アレだよね。クマ吉も何かと大変なのは分かるけど正直言って細かい事情は飲み込めきれないけど何とかするわ。その代わり。」


「その代わり?グヘッ!」


私はクマ吉の首根っこを掴み悪人面丸出しで凄んだ顔でクマ吉に言い寄る。


「お前、言ったよね?願いを何でも1つだけ叶えると?」


「く、くるちぃ……言った!確かに言いました!!」


「じゃあ、その願いを叶えさせてもらおうかね?」


私はクマ吉の首根っこを離してクマ吉を地面に叩きつける。ニッコリ笑顔で詰め寄り言う。

「グヘッ!ゴホッ!ゴホ!!苦しかった……そ、それで?桃香っちの願いってなに?」


私は胸を張り、両手を腰に添えて仁王立ちになりながらハッキリとキッパリと言う。


「私自身の接骨院を開業する!!以上よ。文句ある?」


「へ?せ、せっこついん?」


「おぉー!良い願い事です〜カラカラ。」


クマ吉は接骨院の名前を知らないのか間抜けな声で返事して、キャビンはパチパチと拍手喝采で褒め称えてくれる。


「あの〜桃香っち【せっこついん】って言うのは?」


どうやら魔法世界に病院はあっても接骨院というのは存在しないらしい。

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