第4話 精霊の長老 -我ラノ理想-

また月明かりに照らされて森林も少し妖しくボンヤリとするが、その妖しさに吸い込まれるみたいだな。


ボンヤリとしていると冷たい風が吹く。もう10月だ。さすがに夜になると冷え込んでくる。


俺がファウストとして戦い始めて1ヶ月弱。まだまだ数体しかべリアルを倒していない。全ては優梨が殺されたあの日から……


優梨は今、俺のやっている復讐という名の正義で、たとえ人間だろとべリアルだろうと今、俺のやっている事は殺しだ。


憎しみの正義を振りかざして戦い、そして殺す。何処かで聞いた事ある言葉゙憎しみは憎しみしか生まれない゙ってな。


果たして優梨は今やっている事を許してももらえるのか?



「ひ、大翔!」


いきなり優菜が呼ぶからビックリしたぜ。


「ん~何だ?」


「あのさ……」


「どうしたんだ?」


「なんか大翔とこうやって二人っきりでいるのって久しぶりだよね?」


「まぁ、確かにな。」


言われてみれば、ここ最近は出掛けたりするけど二人っきりは久しぶりかもしれない。


「そ、それでさ。」


「なんだ?」


「お姉ちゃんの事なんだけど……」


「……」


少し胸が痛んだ。ついさっきまで優梨の事を考えてたのもあるけど優菜の口から久しぶりに優梨の名前が出てきた。


「ご、ゴメンね!変な事聞いて。」


「イヤ、大丈夫だ。優梨がどうかした?」


「あの日の事なんだけど……」


優菜の言うあの日は恐らく優梨がべリアルに殺された時か……


「悪い……本当に暗くて何も覚えていないんだ……」


-違う……本当は知っている-


「ゴメン……私……」


-謝るのは俺の方だ-


「悪い……俺が情けないばかりに……」


-心の底から情けない……-


「ううん……大翔は悪くないよ……」


-俺が弱いばっかりに優梨を失った……-


「ゴメンね。私より大翔が一番辛いのに……」


-そんな事ない優菜も俺よりも辛いに決まってる-


「俺が悪いんだ……」


-だから決めたんだ……-


「自分ばっかり責めちゃダメだよ……」


-たとえ憎しみで殺そうと復讐の正義だろうと-


「……」


-自分の手が汚れようと自分が間違ってようとべリアルが許せない-

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