第4話 精霊の長老 -我ラノ理想-

「いちいち文句の多い人ですね。男は黙って一発ヤれ!」


「明らかに狙ってるよな?狙ってるでしょ?またお笑い芸人のネタだろ!」


「ハンセイシテマース。」


「今度は何年か前のオリンピック選手かコノヤロォー!」


そんな風に女将さんと漫才していると暫くした後。


「では、ごゆっくりと……」


襖を締めなが静かに出ていった。俺と優菜は旅の疲れを汗と一緒に流す為に温泉へと向かい男湯と女湯に別れた。


俺は間違えがないか男湯と女湯をもう一度確かめた。間違って女湯に入れば俺は速攻で御用となり言い訳も出来ないままブタ箱に入るだろう。


服をルパン顔負けのキャストオフ。脱衣場を開け、先ずは頭を洗い、そして、身体を洗いタオルを頭に乗せて静かに湯船に浸かった。温泉というのは結構、癒されるなと思い窓から外が見え露天風呂も見えた。


俺は露天風呂にも入ってみたいと思い外に繋がるドアを開けてみると外の景色は森林で囲まれていて目の保養になりそうなくらい山だった。


そして、陽も沈んできて所々に星も見えてきた。星を眺めてみると人の気配がした。ゆっくり人の気配のを向いてみるとそこには何故か優菜がいた。俺はビックリして大声を出してしまう。



「えっ!何で優菜がっ!」


「大翔こそ何で?!」


「え~……だって俺は確かに男湯って書いてある所から入ったんだけど……」


「わっ私も女湯って書いてある所から……」


お互いにビックリしていて気付かなかったが我に帰ると優菜は素っ裸だった。


「あっ!わ、わっ悪りぃ!優菜!」


俺はすぐにソッポ向き、それに気付いた優菜。


「あっ、ゴメン!大翔!」


優菜もソッポ向き、俺と優菜は今、背中合わせの状態だ。気まずいせいか沈黙が続いた。正直、何を言って良いのか分からず、ずっとお互いに黙ったままだ。


その沈黙を破ってくれたのが優菜だった。


「ここって混浴だったんだね……」


「そうみたいだな…」


俺の馬鹿。また沈黙の雰囲気じゃないか。


お互いにずっと黙ったまま。露天風呂から眺められる景色は綺麗で山の方に来たためか都会よりも星がはっきりと見える。


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